イギリス経験論

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イギリス経験論 †

フランシス・ベーコンによってはじめられ,ホップズ,ロック,バークレー,ヒュームヘと受け継がれるイギリス系哲学を経験論という。大陸合理論が理性の働きを重視し,その絶対性を重んじたのに対し,感覚的経験の意義を強調。

ベーコン

  • イギリスのルネサンスを代表する哲学者。デカルトとともに近世哲学の祖とよばれる。イギリス経験論の出発点に立つ人物で,実験・観察といった自然科学的方法の理論的基礎(帰納法)を確立した。

1)帰納法と自然科学
ベーコンは,彼の「知は力なり」という言葉が物語っているように,実験と観察を適して発見した自然の法則に自ら従うことによって自然を支配することで,豊かな物質的生活を享受できると考えた。
ベーコンが近代自然科学の基礎を築いたといわれた所以である。

帰納法とは,諸事物の実験と観察(経験)を繰り返し,それらに共通する法則を明らかにする方法のことである。また,ベーコンは自らが生み出した自然科学的方法(実験・観察と帰納法)によって,アリストテレスとそれに立脚する不毛なスコラ哲学を批判した。
2)イドラ論

ベーコンは,人間が陥りやすい四つのイドラ(種族のイドラ・洞窟のイドラ・劇場のイドラ・市場のイドラ)を挙げた。人間はこれらのイドラ(偏見)を克服することによって,有益な真理を手にすることができる。

  • 種族のイドラ
    • 人類一般に共通する偏見(自然を擬人化して捉える誤りの喩え
  • 洞窟のイドラ
    • 個人特有の性癖・慣習・環境・教育などによって生じる偏見(狭い世界に閉じこめられ,光が遮られていることが生じる誤りの喩え)
  • 劇場のイドラ
    • 権威や伝統に盲目的に従うことによって生じる偏見(劇場で演じたられたものを盲信することによって生じる誤りの喩え)
  • 市場のイドラ
    • 言語を使用することによって生じる偏見(市場でデマが流れそれに惑わされることによって生じる誤りの喩え)

3)主著

  • 『ノーヴムオルガーヌム(新機関)』(1620年)
    • スコラ批判・イドラ論・帰納法

◆.曠奪廛此Thomas Hobbes,英,1588年〜1679年)

イギリス経験論の継承者として活躍する一方,社会契約論を展開するなど,政治思想家としても知られる。

1)機械論的自然観

ホップズは世界に実在するものは物体のみであると考え,人間の精神作用・心的現象をも物体の機械的運動(機械論的自然観)とみなし,人間・国家も機械的運動という観点から説明しようとした。

2)社会契約説

自然状態にある人間は,自己保存の本能(=物体に固有の力)に自由に従う権利としての自然権を有している。しかし万人が自然権を行使すれば,万人の万人に対する戦いという危機的な状態が発生する。そこで人々は,理性が発見した自然法に従い,自己の自然権を放棄する社会契約を結ばなければならない。このような社会契約によって成立した秩序ある合議体が国家(コモンウェルス)である。しかし,人々の自然権を国家に全面的に譲渡させ,国家の絶対的主権を認めたことから専制君主制を擁護する結果となった。

3)主著
『リヴァイヤサン』(1651年)
旧約聖書に登場する海獣(巨大国家のたとえ)

 ロック(John Locke,英,1632年〜1704年)

  • ホップズの経験論と社会契約論を引き継ぐだけでなく.イギリス啓蒙思想の基礎を築いた人物である。その思想は,ロック以降のイギリス経験論哲学に受け継がれるだけでなく,フランス啓蒙思想にも大きな影響をおよぽした。

1)タブラ・ラサ

タブラ・ラサとは,本来白紙状態(なめらかな板)という意味。経験以前に生得的な観念が存在するというデカルト(生得観念の思想)を批判して,あらゆる観念の起源は経験に由来していると考えた。経験以前の人間の心は白紙状態(タブラ・ラサ)という。

2)社会契約説
ロックによれば,自然状態は自然法が支配する自由で平等な状態。しかし自然状態は,紛争を調停する機関が存在していないため,戦争状態に陥る潜在的な危険性を有している。そこで人々は社会契約を締結し,自然権を調停機関としての政府に信託(委任)せねばならない。とはいえ,人々は自然権を保証するために,契約によって政府を生み出したのだから,政府が人々の信託に反した場合、政府権力に抵抗する権利,抵抗権(革命権)が認められる。

ロックは抵抗権の存在を認めたことから,名誉革命を擁護した思想家とされる。

3)主著
『人間知性論』(1690年):タブラ・ラサ
『統治論(=市民政府二論)』(1690年):社会契約説

《参考≫イギリス哲学の系譜

  • ベーコン,ホップズと続いた経験論はロックにおいてイギリス啓蒙主義という形でひとまず完成し,その後バークレー,ヒュームに受け継がれる。18世紀にはいると,イギリス思想は功利主義を生み出す一方,アメリカではプラグマティズムの哲学へと姿を変えていく。





2007-03-10 (土) 21:30:19 (3665d)