フランスにおいて最近注目されだした文学上の概念。「書くこと」「書かれたもの」さらには「書かれた言語」などを意味する。批評家R.バルトによると,言語(ラング)は作家の活動する場を限定し,文体は作家の体質に内在するものであって,ともに作家の意志に無関係であるが,その中間に,作家が意識的に選択する1つの形態的実体エクリチュールがあり,それによって作家は彼自身になるのだとしている。この概念はヌーボー・ロマンの作家たちや,雑誌『テル・ケル』(1960創刊)を中心とするグループによって,さらに発展させられている。