エスニシティ

「エスニシティ」についてのメモ。エスニシティとは…
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ethnicity エスニシティー

エスニシティ †

共通の出自・慣習・言語・地域・宗教・身体特徴などによって個人が特定の集団に帰属していること。

エスニシティ †

  • 本来は文化人類学の用語であり,共通の出自,慣習,言語,宗教,身体的特徴などに基づいて特定の集団のメンバーが持つ主観的帰属意識やその結集原理を意味することばだが,いわゆる「国民国家(ネイション・ステイト)」の理念の破綻と,アメリカ合衆国における公民権運動の高まりとともに,政治学や社会学の概念としても頻繁に使われるようになる。

 アメリカ合衆国では、たとえばドイツ人やイタリア人などの非英語系移民はアメリカ文化に同化することによって自らの民族文化を変質させてはいるが,ある程度母国の文化や言語を維持し,強い絆で結ばれたコミュニティーを形成してもいる。こうしたホスト社会に同化しながら,それとの異質性を意識している集団をエスニシティ・グループと呼び,彼らの帰属意識や客観的指標をエスニシティと呼ぶ。従来の国家社会は,その国民国家の理念にしたがって,こうした異端的グループを同化・融合しようと努めてきたが,1960年代の公民権運動の盛り上がりによって,こうした同化・融合政策に対するマイノリティー(少数派)の抵抗がすこしずつ認められるようになり,カナダやオーストラリアでは,1970年代から「多文化主義」政策が取られるようになった。

 さらにエスニシティ概念は,カルテュラル・スタディーズなどを介して,サブカルチャー研究と結びつく。もともとリチャード・ホガートやレイモンド・ウイリアムを中心にした労働者文化論として始まったカルチュラル・スタディーズは,スチュアート・ホールの影響のもとに,文化を一つの「テキスト」とみなして読解するという戦略を採用する。
 さらに,70年代から80年代にかけて労働者階級という問題意識が薄れていくにつれて,カルチュラル・スタディーズは,グラムシのヘゲモニー論に学びつつ,文化の多元性や重層性を強調し,若者文化やサブカルチャーや対抗文化に注目するようになる。だが,文化が支配集団と従属集団のヘゲモニー闘争によって構造化されていくのだとすれば,男性と女性,白人と黒人,西洋と東洋といった対立も重要な関心事とならなければならない。アンジェラ・マクロビーのジェンダーという問題意識に基づく少女文化研究や,黒人やエスニシティを真正面からとりあげたポール・ギルロイの『ブラック・アトランティック』(1993)などがその成果である。

エスニシティやジェンダーに対するこうした研究は,イギリスのカルチュラル・スタディーズがアメリカやカナダやオーストラリアに移植されたさいに,ポスト・コロニアリズムの展開に重要な貢献をすることになる。






2007-03-10 (土) 21:30:42 (3671d)