オランダ・モデル

「オランダ・モデル」についてのメモ。オランダ・モデルとは…
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オランダモデル †

 ワークシェアリングは欧米で導入が進んでいるが、中でも、オランダはワークシェアリングに最も成功した国と言われる。現在では失業率は1−2%という脅威の実績。

 また、フルタイムの社員とパートタイムの社員の差別を禁止する法律があり、パートタイムでも待遇が悪くならないようなシステムを作らないと、なかなかパートタイムになろうという人は現れない。

 かつては「オランダ病」と揶揄されたほど経済活力の点で問題の多い国だったオランダが、いまや「オランダの奇跡」「EUの優等生」と呼ばれて、世界の注目を浴びている。膨大な財政赤字と高失業率を克服した「賃上げ無き雇用創出」はなぜ可能になったのか。その独特な社会・経済システムを分析し、「奇跡」の秘密を解明。そこには、政府=NGO=企業という「奇跡」を生んだしなやかな連携があった。ジェトロ駐在員としてオランダ生活を経験した著者による本書は、多くの日本国民が知りたがっている情報を豊富に提供してくれる。

 オランダ・モデルは「ポルダー(開拓地)・モデル」とも呼ばれ、パートタイムと常勤雇用との時間あたり賃金と社会保険の差をなくし、一種のワークシェアリングを全国的に行ったことで知られる。雇用を改善し、不況・失業を克服するために労、使、政府の代表が協議して、労働側、使用者側それぞれ不利な政策をも含む政策パッケージを作成し、これに労、使、政府の代表が合意して実行した。まさに三方一両損にみえて全体として得になる社会契約的政策パッケージであり、利己心にとらわれてかえって全員損をする囚人のジレンマを全員にとって利益になるプラス・サムゲームに転換する契約である。この政策は雇用を弾力化し、平均賃金を一時低下させて雇用を増やし景気を回復させたのだから、新古典派的・ピグー的雇用・景気対策であるが、それを労使合意のもとで行ったところに意義がある。著者が言うように雇用・賃金改革だけでなく同時に社会保障改革、規制緩和と総合的に行ったことも注目すべきである。それに環境政策やNGOの活動に関してもオランダは先駆国であることが紹介されている。

 本書は「アメリカ・モデルを参考にすべきだという呪縛にとらわれている」日本人にもう1つの道としてオランダ・モデルを示した点でも意義深い。オランダ人は、コンセンサスを重視するという点では日本人と共通点がある。ただ日本のコンセンサスは関係者の癒着という形の悪いコンセンサスであるがそれを良いコンセンサスに変えることができれば、オランダ・モデルは日本に導入されやすいと著者は言う。現在の日本の不況と失業克服のためにも示唆するところが多い本である。

■「オランダの悲しみ」(東亜日報2004/09/20)


 オランダのマスコミ「ラジオ・オランダ」のインターネット版は、先週末「とても悲しい話」という記事を掲載した。「失業率は跳ね上がり、経済成長はスローだが、福祉の恩恵を引き下げるという。これは苦痛を与えるだけだ。」オランダ最大の労組であるFNV委員長のインタビューだ。政府が失業手当と障害手当を減らして、退職年令を67歳に高めると発表するや、怒った彼は10月に大規模なデモをすると話した。悲しいのはこのような現実だけではない。私たちに労・使・政和合のオランダモデルとして知られてきた「ポルダーモデル(polder model)」の時代が過ぎたというのが、もっと悲しいことだ。

 オランダの経済相は3ヵ月前、「もっと多く、もっと長く働かなければならない」というメッセージを国民に送った。東欧とアジアの低賃金攻勢や世界的な生産性競争、高齢化に対処するには、この方法しかないというのだ。オランダ経済は昨年マイナス0.9%の成長で、今年の第2四半期にはほぼ1%まで減少した。失業率は7%にもなる。1982年に労働界の自発的な賃上げ抑制と使用者の雇用機会の拡大、政府の税金引下げを骨子としたバセナル協約締結以降、パイを育てて公平に分けることで世界の羨望を浴びてきたオランダが、今やヨーロッパでも「経済のお荷物」になった。

 「ポルダーモデルの時代は速いスピードで歴史の中へ消えつつある。」グローニンゲン大学の経済学教授アルイェンの言葉だ。1990年代の心躍る賃金上昇は、結局インフレのため国家競争力の喪失につながった。寛大な福祉制度を悪用する労使が増え、一生懸命働いて税金を払う人が損をするという状態になった。過多な労働市場の規制、起業に困難な環境などを警告したマッケンジー報告書が1997年に出たが、好況に酔った彼らはこれに見向きもしなかった。

(略)

 英国の経済誌エコノミストは、「オランダの成功は、ポルダーモデルのおかげではなく、健全な金融財政政策のおかげだ」と評価した。世の中の変化を認識せず、あまりにも多くを要求して、国家経済を台無しにするという現実を教えてくれる悲しいモデルである。

ワッセナー合意






2007-03-10 (土) 21:30:58 (3911d)