creole クレオール
混血による新しい国家や文化を希望する概念。ネグリチュードの対概念。クレオールは本来、植民地で生まれた白人のこと。支配する白人の言語、及び白人の文化などに混ざり合った状態を意味していた。新しい文化概念としてのクレオールは、ベルナベ、シャモワゾー、コンフィアンの『クレオール礼賛』(1989年。邦訳は97年、平凡社)に始まった。そこで展開されたのは、新しいアイデンティティーとしてのクレオール。これは、西欧文化と非西欧文化との接触によって全く新しい文化が生まれたと理解することにより、旧植民地時代の他者性を克服し、新しい希望を見出そうということでもある。しかし、クレオール自体の混血性は、祖国から離れた白人を意味していたもともとのクレオールである白人男性による、黒人女性へのレイプから始まっており、クレオール礼賛は本末転倒であるという批判もある。また、クレオールの持つ雑種文化の強さを強調する意見に対して、植民地史の文脈の上でクレオールを捉え直すべきだという批判もある。
このことばには様々な来歴がある
クレオール化の例としては,アフロ・アメリカ文化である。北東ブラジル,ギアナ地域,カリブ海域などのアフロ・アメリカ地域では,スペイン,ポルトガル,オランダ,イギリス,フランスなどの植民地主義によって「混血社会」がつくりだされることになった。
白人と黒人によってムラート,マメルコ,インディオと黒人によってサンボ,マルーンなどの混血人種が生まれ,
文化面でも,スペインやポルトガルの文化とアフリカ文化が融合して,西洋にもアフリカにも見られないような新しい独自な文化が生みだされた。現在,文学の領域では,1992年にセント=リュシア(マルティニクの南隣の島)出身の詩人・劇作家デレク・ウォルコットにノーベル文学賞が授与され,マルティニクの小説家シャモワゾーにフランスのもっとも権威ある文学賞ゴンクール賞が授けられるなど,クレオールの文学は注目されつつある。