サイモン

「サイモン」についてのメモ。サイモンとは…
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サイモン:意思決定論 †

組織を意思決定の複合体系ととらえる。
意思決定者である個々人(組織メンバー)の意思決定が,相互に影響し合いつつ組み合わされて,組織体の行動が導き出されるという。行動そのものではなく,行動に先行してそれを生み出す意思決定を企業行動の中心的な概念ととらえ,その意思決定に対するさまざまな研究を通して,人間および企業の行動を分析。

サイモンの人間観 †

  • サイモンは,人間を限定された合理性を有する意思決定主体と仮定。
    • 人間はできるかぎり合理的に意思決定しようとするが,合理性に限界が存在するために,完全に合理的な意思決定をすることはできない。
  • 合理性の限界とは,
    1. 意思決定のために必要なすべての情報を収集できないという,情報収集能力の限界
    2. 意思決定に基づいた行動の結果をすべて完全に予想することはできない,という計算能力の限界

意思決定プロセス †

  • サイモンによれば,意思決定とは次のようなプロセスの全体を意味する。
  1. 情報収集
    • 環境から情報を収集し,それを分析して,解決が必要となる問題を発見。
  2. 代替案の探索
    • 前段階で発見された問題解決のための代替案を探索し,作成する。その際,人間は情報収集能力に限界があるため,すべての代替案は探索できない。
  3. 代替案の評価
    • 探索された各代替案の結果を予想し,比較・評価。その際,人間は計算能力に限界があるため,完全な予想・評価は不可能。
  4. 代替案の選択
    • 各代替案の結果を予想し,それを比較・評価して,評価に基づいて一定水準を満たす代替案を選択。ただし,人間は合理性に限界があるため,満足化原理に基づく意思決定をおこなわざるを得ない。
  5. 代替案の実施
    • 選択した代替案を実行し,所定の成果を確保。
  6. フィードバック
    • 実行の結果を評価・分析して,その情報を次の意思決定にフィードバック。

1:情報活動
2+3設計活動
4:選択活動
5+6:検討活動

満足化原理に基づく意思決定 †

  • 満足化原理に基づく意思決定
    • 意思決定に際して一定の目標水準を定め,その目標水準を達成できる代替案を発見した段階で,新たな代替案の探索を中止してそれを選択するという意思決定の方法。
  • 人間が完全に合理的な存在であるなら,あらゆる代替案のなかから,一定の評価基準に照らして最も有利な選択をおこなうという最適化原理に基づく意思決定できる。しかし,合理性に限界があるゆえに,人間は満足化原理に基づく意思決定をせざるを得ない。

意思決定の種類 †

  • サイモンは,企業における意思決定を,定型的意思決定と非定型的意思決定の2つに大別。
  1. 定型的意思決定
    • 日常反復的に発生する意思決定問題であり,一定の問題解決の手続きや方式があらかじめ決められており,そのつど新しい代替案の探索を必要としないものである。
  2. 非定型的意思決定
    • 問題が新しく複雑であり,あるいは個別的に重要な問題であるために,問題発生のたびごとに新たな代替案の探索を必要とし,あらかじめ一定の決定手続きや方式をもたないタイプの意思決定。新市場の開拓,新規参入など。

組織目的の階層化 †

  • 人間は,その合理性における限界ゆえに,大きな問題に一挙に対処することはできず,複雑な問題の解決にあたる場合,問題を分解して理解し解決しようとする。組織目的は,複雑で大きな問題であるから,まず,これをいくつかの中間的な目的やより小さな目的に分解し,分解した問題群に担当メンバーを配置していく。目的の階層化が,階層的な組織構造を生むのである。組織は,目的の階層化によって,人間の合理性の限界をある程度克服できる。意思決定の範囲が狭まり,収集すべき情報の量も限定されるから。組織が編成される理由もここにある。

組織の意思決定と決定前提 †

  1. 組織の意思決定
    • 階層化された組織体の内部で,各部門ごとに,担当する問題解決のための意思決定がなされていく。その際,それぞれの意思決定がばらばらになされるわけではない。上位の意思決定はより全般的で,下位の意思決定を統制し制約するし,下位の意思決定は上位の意思決定を実行するための手段になる。このように,各層の意思決定が相互に影響を及ぼし合い,そのなかから組織全体の行動が生まれてくる。
  2. 決定前提
    • 決定前提とは,メンバーが意思決定をおこなう場合の前提を意味し,「価値前提」と「事実前提」とに分けられる。
    1. 価値前提
      • 何を目的とし,何を望ましいと考えるかの価値判断である
    2. 事実前提
      • 置かれた環境や能力に関する事実認識のことである。
  • サイモンは,あるメンバーの意思決定が,他のメンバーの価値前提と事実前提に影響を与えその意思決定を左右するという形で,組内において意思決定の相互作用が引き起こされる,と説明する。
    • 上司の意思決定は部下の目的を左右するし,研究開発部門の新製品開発は営業部門の事前前提を変更する。
  • サイモンの理論によれば,意思決定の複合体系としての組織は.組織目的の階層化に併せて組織の意思決定も階層化して,人間の合理性の限界を克服しつつ,組織目的の合理的達成を追求している。





2007-03-10 (土) 21:32:08 (3880d)