Stockholm syndrome
中央日報
噴水台】人質大統領
理由なく人質になった場合、100%人質犯を憎むのが普通だ。 しかし逆に人質犯を擁護・同調する‘おかしな’人がいる。 「ハースト症候群」患者だ。
米国の新聞財閥ハースト家の相続女性パティー・ハーストが誘拐されたのは1874年2月、バークレーの自宅の部屋だった。 芳紀19歳。 犯人らは600万ドルを貧民救済に出せと要求した。 ハースト家は当時赤字に苦しみながらも200万ドル分の食品をカリフォルニア貧民街に配った。 大きく驚いていた米国がひっくり返ったのは2カ月後だった。 パティーの肉声テープがあるラジオ放送局に配達された。
「ハースト家は民衆を搾取する資本家だ。私は(人質犯らの)‘民衆の権利回復’主張に完全に共感する。私はティアニャ(チェ・ゲバラの恋人)に生まれ変わった」。
3日後、ある銀行の監視カメラは、カービン銃を持って強盗行為をするパティーの姿をとらえた。 16カ月間逃げたパティーは75年9月に逮捕された。 パティーの弁護人は彼女は洗脳されたと主張したが、陪審員らはこれを認めなかった。 パティーは強盗罪の法定最高刑である懲役25年に火器乱用罪10年が加えられ、35年刑の宣告を受けた。 (コリン・ウィルソン『世界残酷物語』)
その後「ハースト症候群」は、人質が人質犯に同化する非理性的な心理現象をいうことになった。 ハースト症候群はしかし誰もがかかる病気ではない。 FBIの報告書によると、人質のうち92%はハースト症候群にかからなかったという。