ロシア南部チェチェン共和国でロシアからの独立を主張する武装勢力と連邦政府の間で続く紛争。帝政ロシアがチェチェンを併合した18―19世紀のカフカス戦争が抵抗運動の源流。
チェチェン共和国はソ連崩壊直前の1991年11月、ロシアから独立を宣言、ロシア軍は94年と99年の2次にわたり軍事進攻した。ロシア軍のチェチェンでの略奪行為などが指摘される一方、チェチェン独立派は多数の一般市民が犠牲となった2002年10月のモスクワ劇場占拠事件や、2004年9月の北オセチア共和国での学校占拠事件を起こした。
99年8月、独立強硬派、バサエフ野戦司令官一派が隣接するダゲスタン共和国に侵入、9月にかけてロシア各地で爆弾事件が相次いだのを機に、ロシア軍は第2次侵攻を開始。ロシア側は軍事的攻勢で大半の地域を制圧、翌年6月には親露派政権を打ち立てたが、それ以後も独立強硬派によるとみられる大規模テロが相次いでいる。テロ対策に名を借りた民間人の強制連行や行方不明事案の多発が、この紛争の特徴とされる。