トービン税

「トービン税」についてのメモ。トービン税とは…
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Tobin tax トービンタックス

トービン税 †

  • 為替投機抑制などの観点から,すべての外国為替取引に対し,低率の税を課すという提案のこと。アジア通貨危機以降,再び注目されている。
  • 1970 年代後半,アメリカの経済学者ジェームズ=トービンが最初に主張したことからこの名が付いた。
  • トービンは、金融自由化での短期資本による弊害を予想し、資本移動に関して国際的な規制が必要であるとして全ての為替取引(貿易に関連する為替取引も含む)に少額の税金を課すことを提案した。長い間、この提案は関心を集めることはなかったが、アジア通貨危機以降の金融不安の中で、短期資本流入を抑制する手だてとして再評価されつつある。

トービン税の長所と短所 †

  • トービン税は有効な手段ではあると考えられている一方で、問題点も指摘されている。
  1. 取引も市場もグローバル化し、世界共通の課税は可能か
  2. ヘッジファンドのような巨額資金は大きな利益をめざしており、薄い課税で抑止力が働くか
  3. 小口の市場参加者が減少し、市場の厚みをなくすと、逆に相場変動が大きくなる可能性がある
  • といった疑問も出て、実現は難しいとみられる。

トービン税の長所 †

  • トービン税は短期資本のみならず長期資本にも適用される。しかし、税率を極めて小さくすることにって、長期資本への悪影響を少なくし、短期的な資金(短期的に売買が必要)には大きな負荷とすることができる。つまり、年に一回しか取引をしないような投資家に比べ、頻繁に取引を繰り返す投資家の方がより多くの税金を支払わねばならない。ヘッジファンドの行動に代表される為替差益を求める為替取引では一日中にも複数回の通貨売買が行われるため、低率の課税であってもその効果を発揮する。また、為替取引額による課税は高いレバレッジによって資産を運用する場合大きな障害となる。これによって、金融市場の効率性や安定性を 促進する中長期的な取引から投機的な短期取引を区別し、抑制することができる。 ゆえに短期資本移動を抑制することが可能である。
  • さらには、国際為替取引が巨額であるため低税率でも大きな税収を期待できることである。課税率0.1%、年間課税ベースを260兆 ドルとして(全世界の為替市場での取引は推定で1日1兆ドルと言われている)試算すると、税収はおよそ年間2600億ドルとなる。課税の影響で、全為替取引規模が縮小し、年間課税ベースが10分の1の26兆ドルになったとしても、税収はおよそ年間260億ドルとなりうる。この税収が国際的金融監視機関の運用資金や発展途上国への支援金など国際金融の安定化のために用いるなど用途は多い。

トービン税の短所  †

  • トービン税の問題点として、すべての国がトービン税を導入するかどうかということにある。もしトービン税を導入しない国が現れれば、それが抜け道となって、資本規制に対する効力が発揮されない。したがって、その導入の為には世界規模での同意が必要という難点がある。
  • 国際資本取引による収益などに対して税制上の優遇措置をとることによって、金融機関を国内に引き寄せてきたタックスヘイブンの国や地域(バハマ、バミューダ、ケイマン諸島など)が、トービン税の導入に同調するとは考えにくい。そうなると、これらのオフショア金融センターに移すだけで容易に租税回避が可能となってしまうのである。また、この国際協調を有効にするには、国際協調を破棄した場合にペナルティを課すなど、何らかの強制力が必要となるが、それにも困難な問題が残る。
  • 他にも、現代の複雑化した為替取引を全て管理、課税していくことは困難であり、管理コストが膨大となるという反論や、低率の取引税では、為替レートの変動が大きい場合、投機家に為替投機を止めさせることができない、などの反論がある。





2008-05-31 (土) 21:33:45 (4207d)