ノーベル経済学賞

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ノーベル経済学賞 †

 ノーベル(A.B.Nobel)の遺産を基金としたノーベル賞に付加して、スウェーデン国立銀行の基金により1968年制定されたもの。

歴代受賞者 †

  • 1969
    • ラグナル・フリッシュ(ノルウェー)
    • ヤン・ティンバーゲン(オランダ)
  • 1970
    • ポール・A・サミュエルソン(アメリカ)
  • 1971
    • シモン・クズネッツ(アメリカ)
  • 1972
    • ジョン・R・ヒックス(イギリス)
    • ケネス・J・アロー(アメリカ)
  • 1973
    • ワシリー・レオンチェフ(アメリカ)
  • 1974
  • 1975
    • L・カントロビチ(旧ソ連)
    • T・C・クープマンズ(アメリカ)
  • 1976
  • 1977
    • J・ミード(イギリス)
    • B・オーリン(スウェーデン)
  • 1978
    • H・A・サイモン(アメリカ)
  • 1979
    • T・W・シュルツ(アメリカ)
    • A・ルイス(アメリカ)
  • 1980
    • L・R・クライン(アメリカ)
  • 1981
    • ジェームズ・トービン(アメリカ)
  • 1982
    • G・J・スティングラー(アメリカ)
  • 1983
    • G・ドブルー(アメリカ)
  • 1984
    • R・ストーン(イギリス)
  • 1985
    • F・モディリアニ(アメリカ)
  • 1986
    • J・M・ブキャナン(アメリカ)
  • 1987
    • R・ソロー(アメリカ)
  • 1988
    • M・アレ(フランス)
  • 1989
    • T・ホーベルモ(ノルウェー)
  • 1990
    • H・M・マーコウィッツ(アメリカ)
    • M・H・ミラー(アメリカ)
    • W・F・シャープ(アメリカ)
  • 1991
    • R・H・コース(アメリカ)
  • 1992
    • G・S・ベッカー(アメリカ)
  • 1993
  • 1994
    • J・C・ハーサニ(アメリカ)
    • ジョン・F・ナッシュ(アメリカ)
    • R・ゼルテン(ドイツ)
  • 1995
    • R・E・ルーカス(アメリカ)
  • 1996--ウィリアム・ビクリー(カナダ)
    • J・マーリーズ(イギリス)
  • 1997
    • ロバート・C・マートン(アメリカ)
    • マイロン・S・ショールズ(アメリカ)
  • 1998
  • 1999
    • R・A・ムンデル(アメリカ)
  • 2000
    • ジェームズ・ヘックマン(アメリカ)
    • ダニエル・マクファデン(アメリカ)
  • 2001
    • ジョージ・アカロフ(アメリカ)
    • マイケル・スペンス(アメリカ)
    • ジョゼフ・スティグリッツ(アメリカ)
  • 2002
    • ダニエル・カーネマン(アメリカ)
    • バーノン・スミス(アメリカ)
  • 2003
    • ロバート・F・エングル (アメリカ)
    • クライヴ・W・J・グレンジャー (イギリス)
  • 2004
    • フィン・キドランド(ノルウェー) 
    • エドワード・プレスコット(アメリカ) 
  • 2005
    • トーマス・シェリング(アメリカとイスラエルの二重国籍)
    • ロバート・オーマン(アメリカ)
  • 2006
    • エドムンド・フェルプス(アメリカ)
  • 2007:メカニズムデザイン理論の基礎構築と発展
    • レオニド・ハーウィックス(アメリカ)
    • エリック・マスキン(アメリカ)
    • ロジャー・マイヤーソン(アメリカ)

ニュー・トレンド【経済‐経済理論】
1998年のノーベル経済学賞を受賞したのは、アマルティア・センというインド出身の経済学者であったが、おそらく多くの経済学の専門家は、この受賞のニュースにやや驚いたことであったろう。なぜなら、ここ数年のノーベル経済学賞の受賞者たちの仕事が、現在最も支配的な経済理論を、金融や経済史などの分野に応用するというものであったのに対し、このセンという経済学者が一貫して行ってきた仕事は、簡単にいえば、現在最も支配的な経済理論の根本的な仮定に、徹頭徹尾反対し続けるというものであったからである。それはこういうことである。

現在最も支配的な経済理論は、われわれ人間を、自己の満足・効用を最大にするように合理的に行動する存在と仮定し、また、われわれ人間の効用や満足の大きさは、他人と直接比較することはできないと仮定する。このことから所得分配の公平性や所得の再分配政策に関して得られる理論的帰結は、もはや明らかなことであろう。所得分配が平等であることが厚生上望ましいということが出来るためには、当然のことながら、効用や満足の個人間での比較がある程度は可能でなければならない。しかし、現在の支配的な経済理論は、個々の人間の満足を他者のそれと直接比較することはできないと考える。それゆえ必然的に、経済理論がどのような所得分配の状態が望ましいのかを理論的に判断することはできないと考えるのである。

センの行ってきた仕事は、このような現在の経済理論の大前提に疑いを投げかけ、もう一度経済理論が所得分配の平等性などの現実社会の切実な問題を扱うことが出来るような、より包括的な理論的枠組みを構築しようということであった。例えば、異なる人間の間の直接的な厚生の比較を可能にするような経済学の基本的な枠組みは、一体どのようなものになるのか、といったようなことである。このような動きが、今後、経済理論の主流となるかどうかはいまだわからないが、しかし間違いなくいえることは、センのノーベル経済学賞の受賞は、このような動きを多少なりとも後押しするだろうということである。新厚生経済学と呼ばれる、経済理論のこのような分野の今後の動きに注目してみたいところである。(荒川章義)
朝日現代用語知恵蔵2000






2008-06-03 (火) 05:32:45 (3215d)