ホブソン

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John Atkinson Hobson

ホブソン †

 1858-1940

 イギリスの経済学者。富の分配の不平等によって過少消費・過剰貯蓄がもたらされると説き、過少消費・過剰貯蓄説を唱え、帝国主義を批判。帝国主義の分析や景気変動理論に貢献した。レーニンケインズに影響を与えた。

 経済学的には過少消費説に立つ景気理論によってしられている。かれによれば不況を形成する有効需要の収縮は、生産に消費が遅れることであり、それは所得分配の不平等の不可避的帰結だとされるが、このかれの立場はケインズ、ハロッドなどによっても継承された。

 しかし一般的に、かれの名は、自由主義的ないしは社会改良主義的な立場から、資本主義経済を批判した人物として、そして「帝国主義論」の著者として記憶されている。


「帝国主義論」
「ある異端の経済学徒の告白」
「近代資本主義発達史論」など。

ホブソン『帝国主義論』 †

  • レーニンは『帝国主義論』を書くに際して、数百にのぼる単行本、パンフレット、新聞・雑誌の論文、統計資料の類を利用したといわれるが、そのなかの最も重要なものの一つが、ホブソンの『帝国主義論』である。そのことはレーニンが、わざわざ序文で言及していることにも示されている。
  • 1902年に刊行されたホブソンの『帝国主義論』は、学問的な帝国主義研究として古典的な位置をしめている。
    • その特徴は、帝国主義をたんに民族の膨張といった観点からとらえるのではなく、帝国主義の根本をなす推進力を資本家的利益、特に金融資本家の利益にもとめた点にある。

 序論の「民族主義と帝国主義」に続く、第1篇「帝国主義の経済学」、第二篇「帝国主義の政治学」からなるこの書を、1938年版の序文において、ホブソンは次のように要約している。

「誇り、威信、好戦的傾向など種々の現実的なそして強力な動機が、文明化の使命というヨリ愛他的な言い分とともに、帝国的膨張の原因として現われたけれども、最も主要な支配的動機は、各帝国主義国内の輸出業者および金融業者の階級による、市場ならびに有利な投資への要求であった」

  • 金融資本家の問題は、マルクス主義の文脈だけでなく、20世紀の前半において広く知識人の関心を集めた。
    • たとえば、ケインズは『貨幣改革論』のなかで、物価変動に対する利害などをもとに、社会階級を投資家階級、企業家階級、労働者階級の3つに分類し、さらに投資家階級を非活動階級、企業家階級と労働者階級を活動階級と呼んだ。
    • ケインズによれば、デフレーションは貨幣価値を高めるがゆえに非活動階級にはプラス、活動階級にはマイナスであり、逆に、インフレーションは貨幣価値を低めるために非活動階級にはマイナス、活動階級にはプラスになるとした。
      • 「資産階級は『企業家』と『投資家』の、利害を異にするグループに分かれた」というかれの認識の背景には、所有と経営の分離といった現代資本主義の変貌があった。
  • のみならず金利生活者の思想は、20世紀前半の文学においても重要な主題となっている。
  • 帝国主義研究におけるホブソンの業績は、帝国主義と寄生性の関連をいちはやく指摘したことにある。
    • 『帝国主義論』のなかでホブソンは、帝国主義に固有の必然的傾向として「政治における抑制されない寡頭政治と産業における寄生状態」をあげ、その帰結について次のように書いた。

「その時は、西ヨーロッパの大部分は、南部イングランドにおける、リヴィエラにおける、またイタリアおよびスイスの観光客の多いもしくは邸宅向きの地方における田園地帯にすでに示されているような、外観と性格とを帯びるであろう。すべての主要な動脈的産業が姿を消し、主要食糧品および工業製品はアジアおよびアフリカからの貢物として流れこむであろう」

  • レーニンが『帝国主義論』で、ホブソンの著書を高く評価し、序論でそれを「注目に値する」と書いたが、それは第8章「寄生性と資本主義の腐朽化」においてのことであり、第9章「帝国主義の批判」では、ホブソンの立場は基本的に小ブルジョア的、改良主義的なものとして批判の対象となった。
  • しかし、レーニンの言をもってすれば、ホブソンが「イギリス人であって、植民地にも、金融資本にも、また帝国主義的経験にも最も富んでいる国の事情に精通していた」ことは、貴重であろう。
  • 今日からみれば、「われわれは鋭在の接近方法によっては、われわれの文明をインドに移植することができない。われわれはただ、かれらの文明を撹乱することしかできない」といったホブソソの認識は、第三世界論なかんずく従属理論の先駆とも見なしうる。





2007-03-10 (土) 21:34:59 (3911d)