Niccolo Machiavelli ニッコロ マキアヴェリ
マキャヴェリ/マキャベッリ
マキャベリスト
マキャベリにとって、変転つねなき現世を支配しているのは気まぐれな運命の女神であり,この運命の女神フォルトゥナ(fortuna)に対抗する人間の自由意思が強調される。この人間の自由意思に基づく徳性こそヴィルトゥ(virtu)とよばれるもので,フォルトゥーナとは人間をとりまく状況,あるいは時勢などを意味し,ヴィルトゥとは,フォルトゥナに対抗する人間の有能さあるいは意志力を意味する。マキャヴェリのこの用法においてヴィルトゥは,本来の「倫理的徳性」という意味は薄れ,「力」あるいは「有能さ」という意味が前面に出てくる。それを端的に示すのが「(支配者は)ライオンの力と狐の狡知を持て」という言葉。政治においては美徳の行使は役に立たないばかりか時には有害でさえあり、逆に,目的達成のためには道徳的に悪とされる手段であっても正当化される。
マキャベリの政治思想の中心課題は,イタリアの分裂を克服し,安定した政治秩序をいかにして創出するか,という点にある。心情的には共和制の支持者だったが,イタリアの現状においては強力な君主国の創出にイタリア統一の可能性を見いだした。