monetarism
アメリカのM・フリードマンを中心とする経済学で、ケインズ的な裁量的経済政策に反対し、新古典派のように自由な市場に経済をゆだねるべきであり、政策は物価安定のため貨幣量の増加率を一定率に固定するにとどめよ、という考え。実証的研究の上に立って、短期的には、貨幣量の増加と、名目国民所得の変化との間にはかなり密接な関係があるが、長期的には、実質国民所得の成長率は技術進歩や労働供給などの実質要因によって決定され、通貨量の変化はもっぱら物価の動きを左右するという考えから、物価の長期的安定を図るため、その増加率を適切な率に固定すべしとする。この点から貨幣数量説の復活といわれ、ケインズ的失業対策の有無にかかわらず、長期的には経済の自己調整力で自然失業率の水準を回復するとした。福祉政策や雇用政策に反対し、レーガン政策の一翼を担ったり、チリの軍事政権下の政策にもなったが、その理論の基礎をなす各国の実証的データについては強い疑問が出されている。