ヨーロッパ型資本主義

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ヨーロッパ型資本主義 †

  • 福島清彦『ヨーロッパ型資本主義―アメリカ市場原理主義との決別』(講談社現代新書)

ヨーロッパは資本主義のあり方について、最も進んだ研究と分析を行い、成果を上げている地域である。ドイツ、フランス、英国など、資本主義のあり方が全く異なる国が共存し、影響し合っていることが背景にある。米国型の市場原理主義的な資本主義とは異なるヨーロッパ型資本主義の成り立ちや内容を解説する。

冷戦終結から10年余り、米欧間には対立点も目立ってきた。本書は基本的な社会観、経済政策と制度のあり方、企業経営などの面で、ヨーロッパで広がる対米批判を紹介する。こうした対立は、同じ資本主義でも中身の相違に由来する。成長や効率を最優先するのではなく、ゆとりと思いやりのある社会を作り、貧富の差を縮め、治安の良い状態を維持しようというのがヨーロッパ型資本主義で、米国の成長至上主義とは相容れない点が多い。

サッチャー政権が進めた自由化、民営化、市場経済化路線の弊害が目立ってきた英国は、ブレア政権下で福祉重視型の資本主義への転換を試みる。そのほか、ドイツの「社会的市場経済」、フランスの「エリート官僚主導型混合経済」など、ヨーロッパ各国の資本主義の特徴を紹介し、市場原理主義の改革論議が進む日本も、その思想と経験に学ぶべきだと説く。

  • 9.11の原因はアメリカが推し進める市場原理主義のせいだ…という論調から始まるわけだが、その後のヨーロッパ型資本主義って議論にくっつけるのは強引な感じ。仮に世界の貧困が引き起こしたってな大風呂敷を広げても、この本で対抗策を展開しているわけでもないし。
  • アメリカ型資本主義は欠陥ばかり。アメリカにばかり目を向けないで、もっとヨーロッパに注目しようってのが著者のメッセージ。
  • 「あとがき」において「アメリカの影響力が強くなり過ぎている21世紀初頭の現状では、アメリカ型資本主義を批判的に見ながらヨーロッパ型資本主義が持つ独自の強さに光をあてるヨーロッパ分析書には大いに意味がある。そのような意気込みを満たす本に仕上がったかどうかは、読書諸兄のご判断に任せたい。」と言っている。
  • 「アメリカ型資本主義」を批判的に見るといっても、どれも表層のスケッチにとどまっている。対米批判はけっこうだけども、市場原理主義とグローバリゼーションとの親和性ってのを考慮にいれないと、対米批判だけしていても空虚な感じがする。
  • 「ヨーロッパ型」についても余計な部分を削って、もっと「ヨーロッパ分析」がおろそかになっている点も残念。ドイツ・フランス・イギリスに関する記述がおもしろかっただけに…もっと丁寧に、そして3カ国にとどまらずに各国比較をして欲しかった。そのことによって、「ヨーロッパ型資本主義」なるものの理解も深まるし、「アメリカ型資本主義の異質性」にも焦点が当てられるわけで。





2010-04-30 (金) 20:38:26 (2555d)