レギュラシオン理論

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レギュラシオン・アプローチ

レギュラシオン理論 †

  • フランス発祥の新しいラディカルな経済学。マルクス経済学の新しい動きとも見れる。
  • 1960年代に入ってフランスでは、アメリカ型の生産技術の導入が相次ぎ、投資が盛り上がり、技術も進歩し、新しい産業化の波が押し寄せた。ちょうど日本の高度成長のように経済成長を生み、従来のマルクス主義を大きく揺るがした。
  • このことが、アルチュセールに代表されるマルクス主義内の新しい動きを生み、経済理論の分野では構造主義の影響化、個より全体の優位を主張させ、一方で新古典派の主体均衡の理論を批判させ、他方ではケネーの経済表からマルクスの再生産論、そしてスラッファの再生産可能のための価格関係というように、「再生産」なる考えを軸とする理論に向かわせた。だが、70年代に突入し、石油価格の暴騰は一転して経済停滞を生み、これが、こうした考えの不十分さを意識させ、再生産可能な構造にどう調整させていくか、個々の主体、利益集団・階級・政府等の行動、適応等によって調整されていくプロセスの違いが、歴史にも異なってくる。それらを明らかしようとする考えが生まれ出した。これがレギュラシオン理論である。
  • この理論にそって主張を展開する人々(レギュラシオニスト)は、ポスト・ケインズ学派の考え、特にカレツキらの理論を利用する。新古典派の核が「均衡論」、構造主義「再生産」、そしてレギュラシオン理論は「調整」である。
  • レギュラシオン理論はケインズマルクスの流れを持つが、両者とは重要な差違がある。
    • ケインズは、市場が本来的に不安定であるとは考えていたが、その不安定性は政府による適切な政策介入によって是正されることを信じていた。しかし、レギュラシオン理論は、市場の不安定性を取り除くには政府の介入のみでは不十分であり、労使間・企業間・国際間の合意をもとに各種の制度を創らねばならないと考える。
    • マルクスは、資本主義の抱える矛盾を指摘し、資本主義は崩壊せざるをえないと論じた。しかし、レギュラシオン理論は、資本主義の矛盾的な性格には同意するものの、その矛盾にもかかわらず資本主義が一定期間安定するのはなぜかということに関心を持つ。その際、レギュラシオン理論では、安定した時代の資本主義における合意や制度に注目し、分析を行うのである。
  • このような認識は、「市場均衡」に関心を集中してきた新古典派経済学とは大きく衝突するものとなっており、新古典派とは対照的に、レギュラシオン理論は、「制度諸形態」に焦点をあて、資本主義の動態を解明する。

レギュラシオン理論のキーワード †

レギュラシオン理論に影響を与えたもの †

  • アルチュセール構造主義的マルクス主義
    • レギュラシオン理論は、ルイ・アルチュセールとは対立をする。歴史は主体なき過程であり、歴史に重要性はない、つまり、資本主義の歴史はその不変の要素(商品関係や賃労働関係)の再生産であり、構造こそが再生産されるのであって歴史は無である、とアルチュセールは主張する。
    • これに対して、ボワイエはヴィスコンティの『山猫』から「何も根本的に変わらないためには、すべてが常に変わらなければならない」という箇所を引用し、資本主義がその不変の要素を再生産するためには、資本主義は不断に新しい組織形態、新しいイデオロギー、新しい商品、新しい立地を創造していかねばならない」(ボワイエ『入門・レギュラシオン理論』p.102)と主張する。
  • ブルデューの「ハビトゥス」概念
    • ハビトゥスとは、歴史、宗教、家庭教育、学校教育、イデオロギーから受け継いだものであり、諸個人を条件付けるものかであって、新古典派経済学の「合理的なホモ・エコノミクス」とは正反対の概念である。人々は合理的な計算に基づいて行動をしているのではなく、教育(形成)されたやりかたなどに従って行動している。ハビトゥス概念によって社会化ということが説明できる。
    • レギュラシオン理論における「制度諸形態」と同じような役割を演じている。
  • 新古典派経済学方法論的個人主義との対立
     新古典派の市場観は、市場は本来的に安定的なものであり、すべてを市場にまかせさえすれば安定した成長を達成する、と考える。したがって、経済が一時的に不安定になったり不況になるのは、市場が本来持っている自動安定化の効果が十分に発揮できなくする要因があることになる。政府の市場への介入は効果がないどころかむしろ有害ということになる。





2008-07-24 (木) 12:27:12 (3255d)