Max Weber マックス・ウェーバー
1864-1920。
ドイツの社会学者・経済学者。フライブルク生まれ。
新カント派の影響のもとに科学の没価値性・理念型論などの社会科学方法論を提唱。経済行為や宗教現象の意味をとらえる理解社会学を建設した。
ハイデルブルク大学で歴史派経済学者K.クニース、ローマ法学者ベッカーに師事。ベルリン大学でギールケ、トライチュケ等を聴講。1897年ハイデルブルク大学教授。1903年同大学名誉教授。
「社会科学・社会政策雑誌」の編集者で、同誌に重要論文を掲載。行動に対する情熱をもち政界でも活躍。科学の没価値性と理想型概念構成を主張し、主観的意味をもった行動の理解社会学を建設。近代資本主義の成立とプロテスタンティズムの関連を解明。歴史社会の法則的発展説に疑問を投げ、マルクスと並んで社会科学者に大きな影響を与えた。
政治とは 情熱と判断力の二つを駆使しながら 堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。もしこの世の中で不可能事を目指して粘り強くアタックしないようでは およそ可能なことの達成も覚束ないというのは まったく正しく あらゆる歴史上の経験がこれを証明している。しかし これをなしうる人は指導者でなければならない。いや指導者であるだけでなく―はなはだ素朴な意味での―英雄でなければならない。そして指導者や英雄でない場合でも 人はどんな希望の挫折にもめげない堅い意志でいますぐ武装する必要がある。そうでないと いま 可能なことの貫徹もできないであろう。自分が世間に対して捧げようとするものに比べて 現実の世の中が―自分の立場から見て―どんなに愚かであり卑俗であっても 断じて挫けない人間 どんな事態に直面しても《それにもかかわらず(デンノッホ)!》と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への《天職(ベルーフ)》を持つ。
職業としての政治 p.105−106
近代社会では組織が合理的に編成されるようになるが、その結果、ヴェーバーは官僚制組織に次のような特徴を見出した。
官僚制化の進展が役所ばかりでなく、企業、政党、労働組合などあらゆる大組織に見られるとされており、公的官僚制とともに私的官僚制をも含んだ概念となっている。