格差

「格差」についてのメモ。格差とは…
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格差 †

格差社会 †

  • 参考:橘木俊詔 「格差社会」再考 (朝日新聞 2006/05/01夕刊)
  • 格差拡大はいわれるほど進行していない?
    • 内閣府の資料に基づくもの。もともと貧富の格差が大きい高齢者の数が、高齢化によって増加しているのであるから、格差拡大は統計上の「見かけ」に過ぎない、というものである。高齢化とは、高齢者の中で低所得者や貧困者の絶対数が増加しているという事実を意味するが、見かけとすることによって、この事実まで否定するのか、という疑問が残る。
  • 格差社会はなぜいけないのか
    • 小泉首相は「格差はどの社会でも存在する」と述べたが、これは100%正しい。問題はどこまでの格差を認めるか、である。これは個人の価値判断に依存するところでもあるので、正解はない。極論すれば、社会の構成員の投票によって、民主主義の原則による多数決原理で落ち着く格差となる。
    • 何を基準にして格差の大きさを判断するのか、ヒントを示そう。簡単にいえば、経済効率の向上と公平性の確保のどちらを重視するか、が一つの基準である。
    • 小泉首相は「有能な人、頑張る人が報われるような社会が良い」と述べた。このような人にどの程度報いたらよいのか、人によって意見は異なるが、この言に原則賛成である。
    • この原理を貫徹しているアメリカ社会。自立心を尊び、リスクに賭けることを厭わず、競争をこよなく愛し、努力する人に報いる精神が強いので、勝者の高い所得を容認する。アメリカでは社長の報酬は平社員の100倍以上というすごさ。競争が激しいことは生産性を高め、努力する人の高い所得は動労意欲を高める、というメリットを信じていることが背景にある。これらは経済効率を高めるのに役立つ。

しかし、競争には敗者が必ず生まれる、あるいは競争に最初から参加できない人がいる、という事実への対応策を巡って、人々の間で意見が分かれる。

敗者を貧困者という言葉で代表させるとわかりやすい。
OECD(経済協力開発機構)によると、平均的家計所得の半分以下の所得で定義される相対的貧困率は、アメリカが17.1%で世界の先進国で最高である。ちなみに、日本は15.3%でアメリカに近く、OECD平均は10.2%、福祉国家のデンマークは4.3%で非常に低い。

日本では自分で食べていけない所得の人に、政府が生活保護支給を施す。生活保護基準以下の所得しかない人(それを絶対的貧困と呼ぶ)の比率は96年で7.5%、99年で9.1%、02年で10.8%と増加の傾向にある。ここで生活保護基準は、3級地の1と呼ばれる小都市を基準にした数字による。ちなみに、生活保護を受けている世帯数も、95年が60万世帯だったのが、05年12月において105万世帯という激増。

  • 貧富の格差が大きいことのデメリット
  1. 敗者がますます勤労意欲を失う可能性。
  2. 勝者への嫉妬が高じ犯罪者が増加して社会が不安となる。
  3. 多くの食べていけない人に生活保護支給すれば、一般国民の税負担は大きくなる。
  4. 高所得者の贅沢な消費は天然資源の無駄遣いになる。
  5. 豪邸に住み華麗な消費に走るお金持ちと、みすぼらしい家に住み日々の食に困る貧困者の併存は、人間社会にふさわしいのか、という倫理的な問いかけもある。

私自身は貧困者の数を限りなくゼロにすることが理想とみなすし、できれば格差は大きくない方がよい、と考える。さらに、狭い道であるが政策によって経済効率と公平性は両立可能と信じる。移民の国であり、しかも人種・宗教・文化等の異質性が高いアメリカでは自己責任が原則であり、格差の大きさを気にしないので、ヨーロッパと異なり政府は最低限の政策しかとらない。

格差容認論への反論 †

  • 貧困者・敗者を減らす政策に関して、日本での格差是認論者は必ず次の二つを主張。
  1. 敗者が立ち直れるようにセーフティーネットを確保
    • 過去十数年の日本のセーフティーネットは削減の方向にあると理解する。もともとヨーロッパよりも水準が低いにもかかわらず、年金、医療介護、失業といった社会保障では、給付削減と負担増加の策がとられており、セーフティーネットの主張と逆の道である。さらに、非正規労働者の社会保障制度への加入を制限したままである。
  2. 敗者を固定化せずに次の時期に勝者になれる機会を与える
    • 親が高所得者で教育・職業水準が高ければ、子供のそれも高くなる傾向が高まっている。貧困の子弟には群する機会が与えられない社会になりつつある。それは高い教育費や就職決定の仕組みによるのであり、階層の固定化現象である。一度フリーターになった若者に正社員になる機会が与えられないのも、今後に中年フリーターを生むといった階層の固定化現象のもう一つの例である。





2008-07-06 (日) 12:55:40 (3427d)