官僚制の逆機能

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disfunction of bureaucracy
行政学

官僚制の逆機能 †

  • 官僚制は,本来は合理的な管理・支配の制度として生み出されたものである。しかし,人間性に対する配慮が欠けているため,さまざまな予期しないマイナスの効果(逆機能)が出てきた。
    • たとえば,組織全体よりも自分自身の所属する利益が優先されて全体の利益につながらないとか,組織の力と自分の力を混同し,外部に対して威圧的な行動をとるとか,規則の客観的な適用が重視され,人間的な配慮が足りないなどの逆機能である。
  • 社会学者のマートンは、官僚制のさまざまな問題点を指摘。
  • 規則や命令をかたくなに重視すると、それさえ守りすればよいということで、内部では形式主義、事なかれ主義になる。外部に対しては面倒な手続きをおしつける繁文縟礼(はんぶんじょくれい)となる。
  • 権限の原則、専門化は、各部門の利益ばかりを考えるセクショナリズムを生みやすく、責任の回避、秘密主義、権威主義といった欠点となる。
  • 上下関係の階層秩序は、下層に無関心を生みやすい。
  • これらの逆機能が強まると、合理的なはずの官僚制が、非効率的なものとなる。不評な「官僚主義」はこの側面といえよう。

官僚制の逆機能 †

参考:堀江湛(編)『政治学・行政学の基礎知識』(一藝社,2007)

ウェーバーは近代官僚制こそが技術的に優れた組繊形態であるとして、その合理的な側面を強調した。

これに対してアメリカの社会学者マートンらは、官僚制には深刻な機能障害(逆機能)もあるとして、その非合理的な側面を指摘している。
ここでいう官僚制の逆機能とは、通常、批判的な意味をこめて「官僚主義」と称されるような行動様式を指す。これは「お役所仕事」ともほぼ同義と考えてよく、杓子定規で融通のきかない対応、個別事愉を斟酌しない画一的な対応、不親切で人間味に欠ける態度、尊大な態度、煩雑な手続き、非効率性などがその例。
こうした行動様式は、官僚制組織の職員が無能であったり、資質に欠けるがゆえに生ずるというわけではなく、むしろ、職員が近代官僚制の諸原則に忠実であろうとするところに起囚している場介が多い。

  • 規則や続きを遵守しようとする態度が、規則や手続きそのものを絶対視するような態度へと転化するなど、本来は「手段」にすぎない規則や手続きが「目的」に転じてしまう。これを「目的の転移」「目標の置換」などとよんでいる。

逆機能の諸相 †

形式主義・画一主義 †

  • 官僚制の仕事ぶりに対しては、融通がきかないとか、形式的で杓子定規な対応であるとか、個々の事情を斟酌しない画一的な対応であるといった批判がしばしば投げかけられる。こうした行動様式は形式主義、画一主義などとよばれる。
    • 「規則ですからダメです」「特別な事情があるのだから何とかしてくれ」「とにかく規則ですからダメなものはダメです」。
  • しかし、近代官僚制においては、恣意や情実、えこひいきなどを排した公平無私かつ平等な収り扱いが行われるように、法令をはじめとする規則に照らして厳格に業務が処理されるべきとされる。融通がききすぎる対応というのは、官僚制に必要以上の裁量が与えられていることを意味し、法治主義の原則と相容れない側面を持つ。
  • しかし、規則を取り巻く環境が変化して規則が時代遅れになっているような場合には、機械的に規則を適用するのではなく、規則を弾力的に解釈して変化に対応させるなり、すみやかに規則を変更する手続きを開始する必要がある。

繁文御礼(はんぶんじょくれい) †

  • 役所への許可申請などでは膨大な書頬の作成と煩雑な手続きに悩まされるのが通例であり、もう少し簡素化することができないものかという批判も多い。
  • このように規則や手続きなどが細々としていて煩わしいことを意味する言葉が繁文縟礼ある。
  • 官僚制においては、担当する職員によって対応にバラつきが生じないように事務処理の手続きが詳細に定められており、また正確な記録を残すという観点などから一連の手続きはすべて文書によるものとされている。よって煩雑な手続きと膨大な書類は、官僚制がいい加減な仕事をしないための防波堤という意味合いがある。とはいえ、不必要な書頬や手続きは極力簡業化するなど、顧客の立場に立った仕組みづくりに努めるべきである。

セクショナリズム(割拠主義) †

  • 組織全体の利益よりも自分の所属する部局の利益を優先したり、自分の担当以外の仕事には一切関心を示そうとしないような行動様式を指す。「省あって国なし」「局あって省なし」などの言葉があるように、日本の行政におけるセクショナリズム(縦割り行政)は強固であり、批判も根強い。
     また、部局閥にまたがるような案件が生じた場介、なるべく自分の担当ではないことを主張し、「たらいまわし」にして面倒な仕事から逃れようとすることも少なくない。こうしたセクショナリズムは、近代官僚制が求める分業体制の下では、程度の差はあれ逃れることはできないが、その弊害を抑制するべく、部局間の調整を綿密にするなり、上位の部局が適切な指導を行えるよう体制を整えるなりの努力が必要である。





2011-12-13 (火) 19:15:21 (2193d)