Corporate Social Responsibility / CSR
経済気象台02/07
大戦後60年、日本の経済も社会も、成熟期に入ったと言ってよかろう。この中で、企業経営のあり方も利益第一主義から、社会的責任、地域貢献、株主への利益還元などを重視した考え方の企業経営についての議論が活発に行われるようになった。特に、企業の社会的責任(CSR)については重要度が増してきたように思う。
これは、日本における様々な規制緩和や政府部門の私企業化が進む中、政府の役割が縮小し、個別企業ごとの社会的責任が増大していることが背景にある。また、企業のグローバル活動の伸展により、国内社会のみならず、世界的にも企業の責任が重くなったきているのである。
CSRは様々な形で行われている。業種によっても異なる。製造業では工場からの有害物質の発生を防ぎ、地球温暖化への配慮をしているところもある。サービス業では利用者や消費者に安心され、信頼されるサービスを提供していくことに努めているところもある。
しかしながら、日本ではまだまだ真剣に取り組んでいる企業は多くない。業績的に好調で余裕のある企業は積極的であるが、経営に余裕がない企業ではCSR活動が直接業績に結び付かないと考えて消極的である。
また、これも日本は欧米に比べ少ないのであるが、CSR活動の評価を考慮してそれらの企業の株式や債券に投資をする。つまり企業の社会貢献度を評価して投資を決める手法で、投資される企業にとっても社会にとってもプラスになると考えられる。これらの投資について税制面の優遇があれば、更にプラスとなろう。
CSRの実施は企業として余裕があるかないかの問題もあろうが、やはり経営トップの強い思いと実行力によるところが最も大きいと思う。誰かの言葉にあるごとく、事業とは自己の利益のみならず社会国家をも益することでなくてはならない。