投票行動
投票行動の分析という立場からは、投票をしないという行為についても無視することはできない。すなわち、棄権という行動の内容はさまざまであり、それぞれが民主政治に及ぼす影響もさまざまである。
- 棄権の第一のグループは、なんらかの理由で政治意識を自覚しない伝統型政治的無関心層ならびに、無気力や挫折による自己閉鎖的な近代型政治的無関心層によって構成される。
- このような消極的棄権層が、まず投票率を下げることになる。これに加えて、積極的棄権層がさらに投票率を下げる。
- 積極的棄権層とは、現実の政治や政策ないし政権に対して不満をもち、その批判の意思表示として投票場に行かないという層。
- この層は、その主観において、いわゆるバッファー効果を期待しているものと思われるが、現実には、そのような効果よりは、むしろ現状肯定ないし現実維持の結果しかもたらしえない。批判票としての実効性をもたせるためには、棄権ではなく、むしろ批判票としての反対票を具体的に投ずることが必要なのである。
- 選択肢の不在。