政党や候補者の争点に対する立場を詳細に吟味し比較検討することは相当骨の折れる仕事である。その上,政党や候補者のほうは明快な選択肢を提示しないことが多い。これに対して与党が政権担当,とりわけ経済運営に失敗したら,次の選挙で政府を取り換えるというのが,アメリカ流の「業績投票」の考え方である。これだと政党を評価するのが簡単である。業績投票のモデルを最初に提示したM・フィオリナによると,業績評価には直接的な経験に基づく評価と,マスメディアなどによって形成される間接的な評価があるという。言い換えると,直接的に不況の影響を被っていない人でも,マスメディアの報道を通して,与党の業績評価を共有するようになるのである。
アメリカでは普通に行われている業績投票が,日本の選挙で明快に行われたことは少なかった。これまで不況になるとむしろ自民党が票を伸ばすような傾向さえあったのである。
55年体制下で,自民党の経済運営の失敗に,有権者が明確な「罰」を与えてこなかったのは,野党の政権担当能力を信頼してこなかったからである。