authoritarian personality
- 1930年代のファシズム擡頭を受入れた当時のドイツ中産階級の社会心理学的分析を行なったE.フロムに始り,アメリカの社会学者たちによって明らかにされた人間の性格類型。因襲主義,権威への服従,人間不信などを特徴とした反民主主義的イデオロギーを受容しやすい性格をいう。フロムはこれをサド=マゾヒズムとしてとらえ,権威ある者への絶対的服従と自己より弱い者に対する攻撃的性格の共生とした。
- これを民主主義的パーソナリティとの対置概念として尺度化してとらえようとしたのはT.アドルノである。
- ドイツの哲学者・社会学者アドルノは,ナチスのファシズムを支持した大衆の心理を分析して,つぎのような権威主義的な性格傾向があるとした。
- 強いものに柔順で,弱いものに強圧的になる。
- 偏見や差別意識にとらわれやすい。
- 自分が所属している集団に対する帰属意識が極端に強い。
- 善か悪か,敵か味方かという二価値判断におちいりやすい。
- 思考が紋切り型のステレオタイプである。
- 人間を内面でなく肩書きなどの外面で評価する。
- 縦の上下関係に敏感である。
- 権力や金力を正義と結びつけやすい。
- 人間を手段としてあつかうことに平気である。
- 容易には人を信用しない。
- 理想に対しては冷淡な態度をとる。
- 硬直化した思考によって権威を無批判に受け入れ、少数派を憎む性格のこと。反ユダヤ主義の原因を研究するため、1930年代に批判的社会学によって導入された社会心理学的概念。
- 権威主義的パーソナリティ