ある財の消費を1単位増加した場合の消費者の効用(満足)の増加分。限界効用学派によって初めて唱えられた概念。古典派経済学においては,水のように貴重であるが安価なものと,宝石のように生活に不可欠ではないが非常に高価なものの相違を説明するのに価値と価格の二元論を用いていたが,この限界効用の概念を用いることによって一元的に説明されるようになった。すなわちこの相違は,財全体から受ける効用と財がさらに1単位増加したときに増加する効用(限界効用)の違いであり,財の需要価格は限界効用により決ると考えた。このような限界概念の発見はそれまでの経済学に革新的な変化を与え,近代経済学の基礎となった。(→限界効用均等の法則。限界効用逓減の法則)
ある種の財何単位かが一定の欲望充足のために消費される場合,最後の1単位の財から得られる追加的な心理的満足(効用)。marginal utility▽財そのものの特質だけできまるのではなく,財の種類や消費者の趣好,さらに消費者のもつ各種の財の量的な割合などによって決定される。一般に,財貨所有量が大きいほど効用は小さくなる。