古典古代

「古典古代」についてのメモ。古典古代とは…
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classical antiquity

古典古代 †

  • 古代ギリシア・ローマ時代の総称。
    ヨーロッパ文化の基礎となった古典文化を生んだ時代として、他の古代社会と区別するために用いる。

近代ヨーロッパ文化の規範となり、イスラム文化にも影響を及ぼした古典文明を生んだ時代として、世界史上他の古代社会と区別して用いる。

古典古代の思想 †

ギリシャ・ローマ時代は西洋文明の源流にあたることから,一般に古典古代とよばれている。神話にかわって哲学がはじまったのもこの時代。ギリシャのイオニア諸都市ではじまった自然哲学の時代は,アテネ古代民主制の発展の波に乗って黄金時代を迎え,アレクサンドロス大王の遠征とともにヘレニズム文化に流れ込む。

(1)自然哲学の時代 †

貴族制から民主制への転換期にはいると,世界や宇宙の起源を神々や英雄の行為によって説明する神話的世界観にかわって,万物の根本原理を論理的に探求しようとする自然哲学がはじまった。自然哲学の中心概念である万物の根本原理(始源)をアルケーとよんでいる。

哲学者年代アルケー
タレスB.C.624/40〜B.C.546
ヘラクレィトスB.C.535〜B.C.475頃火,万物は流転する
ピタゴラスB.C.580頃〜?
デモクリトスB.C.460〜B.C.370頃原子論(→近代科学の先駆)

(2)ギリシャ哲学の黄金時代 †

民主制の高度な発達にともなって,民主政治の技術や人間社会についての知識が必要とされるようになった。それにともなって,自然に関する原理的な思索を展開した自然哲学にかわり,人間社会や政治・倫理に関する哲学が誕生した。とくにアテネにて活躍したソクラテスプラトンアリストテレスはギリシャの三大哲学者といわれている。

仝殿緻閏臉の発展とソフィスト

古代民主制の発達にともなって,民主政治に不可欠な弁論術を教えるソフィスト(「知恵ある人]職業教師)達が活躍し,万物の根源を探求する自然哲学は衰退した。また民主制の発達は,真理はそれを主張するものがおかれている立場によって決定されるという相対主義を生みだした。代表的なソフィストであるプロタゴラスは,「人間は万物の尺度である」という言葉によって,絶対的な真理を否定する相対主義の立場を表現した。

自然哲学→古代民主制の発達→ソフィスト(弁論術) 相対主義

ソクラテス(B.C.470年〜B.C.399年)

繁栄を誇った古代ギリシャの民主制も,ソクラテスの時代にはかげりを見せ,衆愚政治へと堕落していった。ソクラテスが自らの敵として激しく対決したのは,アテネの衆愚政治やそれと結びついた論弁家と化したソフィスト達であった。

  1. 問答法と無知の知
    • ソフィストの弁論術は,時代とともに大衆説得をおこなうための論弁術に転落した。ソクラテスはこのような堕落した弁論術やそれと結びついた衆愚政治を厳しく批判し,産婆術(助産術)あるいは問答法とよばれる対話・論争を通して,自分かまず無知であることを悟ること(無知の知)こそが真の知への出発点であると唱えた。
  2. 知徳合一
    • 徳(アレテー)にかない善く生きることは,徳について知っていることと同義である。これを知徳合一(知行合一)という。ソクラテスによれば,人間が過った振る舞いをし不徳に陥るのは,徳についての真の知を有していないからである。徳について知り,自分の魂を善くしようと気遣うこと(魂への配慮)がソクラテスの理想とした生き方である。

プラトン(B.C.427年〜B.C.347年)
ソクラテスの弟子で政治家を志願したが,衆愚政治(=ソクラテスの処刑)に絶望し,理想主義的哲学を展開した。ソクラテスが明確に答えなかった真理(真の知)を探求した。
1)イデア論
世界は経験によって知覚しうる現象界と事物の本質が存在するイデア界(真実の世界)とに分割される。プラトンによれば,現象界に存在する現実の個物は,イデア界に属するイデアの模倣であり,事物の本質(イデア)は経験を越えた理想の世界(イデア)に存在する。さらにプラトンは,さまざまなイデアのなかでも善のイデアを最高のイデアとした。人間の魂は,肉体に宿る前にみていたイデアを想起することによって認識することができるとした。

2)魂の三部分と哲人政治

  • プラトンは魂を三つの部分,理性・意思・欲望にわけ,それぞれに対応する徳として,理性・勇気・節制をあげた。また三つの徳が調和した状態を正義の徳という(理性・勇気・節制・正義をギリシャの四元徳という)。
  • プラトンは,これに基づいて理想国家の思想を展開した。三つの徳が,国家を構成する三階級に対応している。知恵(哲人)が支配し,勇気(軍人)がこれを助け,欲望(庶民)がこれに従う哲人政治が国家の理想形態である。
  • 魂の三部分と階級
    魂の三部分埋想国家の階級
    理性知恵(理性の徳)哲人(統治者階級)
    意思勇気(意思の徳)軍人(防衛者階級)
    欲望節制(欲望の徳)庶民(生産者階級)

ぅ▲螢好肇謄譽后B.C.384年〜B.C.322年)

  • プラトンが開設したアカデメイアに学び,アレクサンドロス大王の家庭教師を務める。プラトンの理想主義に対して,現実主義的哲学を展開した。またその学識はあらゆる事物に至り,万学の祖とよばれる。
    1)形相と質料
  • 現実の個物は形相(エイドス)と質料(ヒューレ)からなる。形相とは,個物の形や機能をさし,その個物の本質をなす。それに対して質料とは個物の素材をいう。ただし個物の本質である形相は現実の個物そのものに内在する(現実主義)とされ,本質を現実とは別次元に設定するプラトンの理想主義と区別される。質料は形相(本質)を実現しようと運動するが,いまだ形相が実現しない状態を可能態,質料が形相を実現した状態を現実態という。アリストテレスによれば自然界の事物はすべて自らの形相(本質)を実現するという目的を有している(目的論的自然観)。
    2)中庸
  • アリストテレスの重視した徳で,両極をさけ物事の中間を選択し行動する能力をいう。
    3)「人間はポリス的動物である」
  • 人間は単独に存在するのではなく,ポリスという政治的共同体の成員として行動するとき,人間らしさを身につけることができるということを表現している。のちに「人間は社会的動物である」と読みかえられた。
  • 表 プラトンとアリストテレス
    個物の本質本質の位置思想の特徴
    プラトンイデア現実を越えたイデア界理想主義
    アリストテレス形相(エイドス)現実の個物に内在経験主義

(3)ヘレニズム文化 †

  • アレクサンドロス大王の東方遠征によって,ギリシャのポリスは衰退した。ポリス衰退は,一方で狭いポリスの枠組みをこえ,自らを世界市民の一員と位置づけるコスモポリタニズム(世界市民主義)を生み出したが,他方で安定したポリスの生活を失った人々の間で心の平安を実現する思想が求められた。
  1. エピクロス(B.C.341年頃+B.C.270年)
    • 精神的な快楽主義を唱えたエピクロス学派の祖である。永続的・精神的な快楽を追求することによって心の平静さを求めるべきだとした。エピクロスが理想とした心の幸福をアタラクシアという。
  2. ゼノン(B.C.335年頃−B.C.263年頃)
    情念を抑制する禁欲主義によって,心の平静さを実現しようとした。自然のままに生きる賢者の生活を理想とし,ストア学派の祖となった。情念から解放された状態をアパテイアとよび,理想の境地とした。
  • 表4 ギリシャ哲学概要
    区分第1期 自然哲学第2期 黄金時代第3期 ヘレニズム文化
    時代背景ポリス・植民市の形成アテネにおける古代民主制の盛衰アレクサンドロス大王の東方遠征とヘレニズム時代
    特徴万物の根源(アルケー)の探究政治思想と形而上学コスモポリタニズム(世界市民主義)と倫理思想の発達
    哲学者タレス(水)、へラクレイトス「万物は流転する」、ピタゴラス(数)、デモクリトス(原子)ソフィスト(弁論術)、プロタゴラス…人間は万物の尺度、ソクラテス…無知の知・問答法、プラトン… イデア・哲人政治、アリストテレス… 形相・質料・ポリス的動物・中庸エピクロス(快楽主義)、ゼノン(禁欲主義)





2007-03-10 (土) 21:39:44 (3697d)