公債負担

「公債負担」についてのメモ。公債負担とは…
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財政学

公債負担論 †

  • 公債の累積は将来世代への大きな負担を残す?

古典派 †

  • アダム・スミスは、公債発行は課税によって元本と利子の支払を余儀なくされるので、将来世代の負担になる。

リカードの等価定理 †

  • リカードは公債発行による所得の減少と、増税による所得の減少は同じであり、もし公債の償還が発行時の世代生存中に行われれば、公債と増税の効果は等しく、将来世代への負担は生じないとした。
    「等価定理」
    増税による資金調達と、公債発行による資金調達は同じ効果を持つ。この議論は20世紀にバローによって現代的に拡張されたことで再発見された。

負担転嫁を否定する見解 †

20世紀
公債負担の転嫁を否定したのはラーナーとバロー。

  1. ラーナー
    現世代に発行した公債はおそらく将来世代の誰かが所有している。そうであれば将来世代で公債か償還された場合、課税されるのも将来世代であれば、償還でお金を受け取るのも公債を持つ将来世代ということになる。将来世代では公債保有者と納税者の間で所得の再分配が起こっているにすぎない。
    • つまり、公債が日本国民に購入されている限り、将来世代への負担転嫁は生じないことになる。
  1. バロー
    • バローは合理的期待形成理論の立場から、公債負担否定論を展開。
      もし今、政府が公債を発行したとすると、国民は将来公債償還のために大増税がくるのではないかと予想すると考える。将来の増税を予想すると、国民はその増税に備えて、余裕のあるうちに貯蓄に励んで増税の時に使おうとするはずである。とすれば、公債発行と将来の増税を同一視し、増税と同じように消費を減らして貯蓄を増やす。つまり、公債発行と増税の効果は同一であるという「リカードの等価定理」が世代間でも成立することを合理的期待形成理論の立場から示した。これをバローの「中立命題」という。

両者の議論は公債発行は将来世代の負担にならないという点で共通するが、ラーナーはケインズ政策を擁護するためにこの議論を展開したのに対し、バローはケインズ政策の無効性を主張するために主張をしている。

公債負担肯定説 †

  1. ブキャナン
    • ブキャナンはラーナーの見解を批判。将来世代では公債購入は任意であり、自由に購入したものであるが、課税は強制的に否応無しに徴収されるもの。将来世代にはそうした心理的な負担を負うことになるという見解。
  2. ボーエン、デービス、コップ
    • 現世代では公債保有者は公債という資産を将来世代に売って消費を維持できるが、将来世代の、公債を持っていない人は増税によって可処分所得が減少し、消費する能力が減ってしまう。消費できなくなることを負担と考えれば、将来世代に負担転嫁が生じることになる。
  3. モディリアーニ [#ibb956de]
    • 公債を発行すると、民間の持つ資産が実物資産から公債に転換し、民間の資本蓄積が減少するので、生産力の低下が起こり、将来の人が受け取れる所得が減少し、租税よりも負担が大きくなると考えた。本来ならば民間の生産的な使途に使われるはずの資金が公債に流れ、生産力を低下させ、将来世代には増税と所得の減少という二重の負担を強いるという。





2009-01-21 (水) 03:12:21 (3130d)