公正としての正義

「公正としての正義」についてのメモ。公正としての正義とは…
HOME > 公正としての正義

ロールズ / 正義論

公正としての正義 †

社会正義に関して、目的論的な正義観を退け、むしろ、義務論的な正義論を採用する必要がある。

  • 目的論的正義観
    • 「善」の内容を理性によって確定し、諸々の善の間に価値の客観的な序列を認め、最高次の善を極大化するような人間の生き方や制度のあり方を「正」とみなす立場であるのに対し、義務論的正義観とは、まずすべての人の守るべき「正しい」ルールを確立し、次にそのルールを侵害しない範囲では各人は自己の選択するいかなる「善」をも最大化しうるような社会制度を構築することをもって正義論の要諦とする立場。

目的論的正義観においては、理性は人間の追求すべき究極的な価値や善の内容を認識しうるとされるのに対して、義務論的正義観においては理性にはそのような能力は否定されており、むしろ善や価値が何であるかの判断は各人の主観に委ねるのが自由主義の長所とみなされている。

さらに、目的論的正義観では「善」と「正」とが密接不可分な関係にあり、しかも「善」が「正」に優越しているが、ロールズの義務論的正義観では、「善」と「正」とが相互に無関係に規定されうるだけでなく、「正」が「善」に優先しなければならない。

「公正としての正義」

ロールズによれば、他の契約論と同様に、「公正としての正義」も二つの部分

  1. 最初の契約状況の解釈とその状況下でどのように選択がなされるかの解釈
  2. 同意されるであろう一連の原理

から成り立っている。ロールズは、伝統的な社会契約説における「自然状態」に相当する「原初状態」を仮定し、そこにおいて社会正義の原理として全員一致で同意されるであろう正義の二原理を、暫定的に次のように規定する。

  • 第一原理 各人は他の人々にとっての同様な自由と両立しうる最大限の基本的自由への平等な権利を持つべきである。
  • 第二原理 社会的、経済的不平等は、それらが,△蕕罎訖佑陵益になることが合理的に期待され、かつ△垢戮討凌諭垢乏かれた地位と職務に付随するように、配置されるべきである。

 ロールズによれば、これらの二原理は、同じく暫定的に次のように表現される正義のより一般的な観念の特殊なケースであるとされる。

 すべての社会的価値(自由と機会、所得と富、および自尊心の社会的基凝)は、これらの価値のあるもの、または、すべてのものの不平等な分配が、あらゆる人の利益になることがない限り、平等に分配されるべきである。

 以上のことから、ロールズの正義の理論の最も基本的な特徴として、不正義とはすべての人々の便益とはならない不平等であるとされる。この意味においてはロールズの出発点は急進的な平等主義である。というのは、彼にあっては、正当化されねばならないのは諸々の不平等でしかないからである。
 いずれにしても、原初状態において、他の正義の原理、なかんずく功利主義的な原理ではなく、まさに上述した二原理が全員一致をもって採用されることを証明することが『正義論』全体の課題として呈示されたわけである。






2007-03-10 (土) 21:40:03 (3911d)