- 行政上の争いの裁判を司法裁判所ではなく行政裁判所にさせるなど、行政権を司法権の干渉から解放する国家。明治憲法下の日本がこれであった。
- 行政機能の拡大・発達などによって、行政権が立法権・司法権に対して優位におかれる傾向のみられる現代の国家。
現代行政国家の特質
現代の国家は,19世紀的な国家観(「自由国家」・「夜警国家」・「消極国家」・「小さな政府」)とは大きく異なる「社会国家」・「福祉国家」。「積極国家」,そして「大きな政府」に変貌をとげ,生活のほとんどすべての領域に国家が関与している。こうした国家の介入は,国民の自由を侵害する危険性を常に内包しており,近年の規制緩和をめぐる議論にみられるように,過度の介入は社会や経済に大きな影響を及ぼす。
これらの国家の介入の圧倒的大多数が行政部によって行われることから,現代の国家は,「行政国家」とよばれる。
- 行政活動の量的拡大
- 社会基盤(infrastructure)整備への積極的な関与としての公共事業や社会保障政策,教育制度の充実に代表されるように,現代国家は,その活動規模を拡大させている。
- 行政活動の質的変化
- 現代国家の行政活動は,福祉国家観が普及し定着したことにより,量的に拡大しただけではなく質的にも変化。
- 行政権の優越化
- 委任立法や政府提出法案の増大,「公定力」の理論や広範な行政裁量(特に自由裁量)の是認にみられるように,立法部・司法部に対する行政権の優越化が指摘される。