国民国家

「国民国家」についてのメモ。国民国家とは…
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国民国家 †

  • ひとつの民族がひとつの国家をなすべきだとする考え方で、近代の国家のあり方の典型とされる。
  • 「フランス」という国は、身分や階級や地域の違いをこえて「フランス人」が構成していることになる。そうした意識が成立するためには、言葉や宗教や生活習慣を共通とする「国民」が成立しなければならない。
  • 実際、百年戦争などをつうじて、「フランス人」や「イギリス人」といった意識が成立したと言われる。しかし、現実には、西ヨーロッパ諸国においても今も国内に少数民族がおり、彼らの問題を無視することができない。




  • 国民国家という概念は<近代>が生み出したイデオロギー。
  • 同一の言語を話し、同一の国籍を有し、同一の法の支配のもとにおかれる存在を国民とよぶとするなら、国民の存在はそれほど古い歴史を持つものではない。
  • たとえば、フランス革命は、地縁ないし職能的な社会的結合関係で結ばれていた社会を否定して、個人を国民として直接的に国家に結びつける原理をうみだした。法のもとでの平等な市民からなる国民国家というここから生みだされた考え方は、しかし、決して全般的に貫徹されたわけではなかった。そもそもフランス革命期に全人口の3分の1から4分の1がフランス語を話してはいなかったばかりか、19世妃半ばをすぎてもまだ5分の1はフランス語を話してはいなかったのである。
  • かりに民族(ネーション、ナツィオン、ナシオン)を文化的概念としてとらえるなら*1、民族を「言語共同体」(言語の共有)として考えることができよう。支配的な民族語による地域的な民族語の吸収・征服によって民族国家が形成されるのである。そしてそこに「国民」という理念が生みだされるのであって、国民とは単なる国家の民のことではない。したがって、言語的統一が成立することが国民国家形成の前提条件となる。

 フランスの場合でも、オック語、ブルトン語などの地域の民族語の征服・吸収を通じて近代的国民国家の完成が生みだされた。そしてこの言語的統一にあたって無償・義務の公教育が最大の役割をはたしたという点では各国とも共通するといってよい。さらに、学校教育は、社会的上昇の道を提示することによって、個々人を国家へと直接的に結びつける役割をはたした。国民国家形成の根幹は、様々な諸制度の警備(公教育、労働組合法、選挙法改正など)を通じての国民の受益者意識の形成にあった。

  • ただし、ドイツやイタリアなどのように国家的統一と近代国民国家創出という二つのレベルを同時にかかえこんだ地域では、国家統一というナショナリズムが強大な勢いを持つに至った。
    • イギリスやフランスのような諸制度の受益者意識から生みだされる<制度としてのナショナリズム>とは異なって<運動としてのナショナリズム>が展開された。そして国家統一のあとに、やはりそこで<国民>の形成という問題が浮かびあがる。
  • 日本でも「ただ政府ありて未だ国民あらず」(福沢諭吉『学問のすすめ』)との発言が明治維新後になされたが、この点ではドイツやイタリアも同様な課題を同時期にかかえていた。
    帝国主義段階の各国家は<国民>の創出によって内部的安定を企図した。

*1 地球上にまったく純粋の民族などというものは存在しない。それはあくまで観念のレベルで設定されてきたものである





2007-03-10 (土) 21:40:55 (3813d)