財政安定協定

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財政安定協定 †

 正式名は財政安定・成長協定。99年誕生の単一通貨ユーロ価値安定のため、EU加盟国が放漫財政に陥ることのないよう、極端な不況など例外的な場合を除き、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑えるよう義務付けた。3年連続で3%を超えた場合には制裁金を科すなど厳しい内容で、景気悪化時に財政出動しにくいなど硬直性を批判する声が高まり、見直し協議が本格化していた。

財政赤字3%超なら“罰金” ユーロ参加国に義務付け

◆守れぬ独仏 見直し歓迎 順守の中小諸国は反発

 欧州連合(EU)が、ユーロ参加国に一定の財政規律を義務付けている「財政安定化・成長協定」の見直しに乗り出した。ドイツやフランスなど、景気低迷に伴って財政赤字が協定の定める上限を超える国が相次ぎ、現在の協定が現実的でないという見方が広がってきたためだ。EU財務相理事会は来月16日の会合から見直し論議を本格化させる。ただ、見直しは野放図な財政運営を許すことになるとの批判も出ており、意見集約には時間がかかりそうだ。

■形がい化

 同協定は、各国が単年度の財政赤字を実質国内総生産(GDP)比で3%以下に抑えるよう義務付けている。違反した国は、財務相理に赤字削減の対応策を報告するが、それが不十分だと認定された場合、最高でGDP比0・5%の金額をEUに預託しなければならない。2年後も赤字が解消されていなければ、預託金は没収される。

 同協定は、1997年6月のEU首脳会議で導入が決まった。99年の単一通貨ユーロ発足を間近に控え、過度の財政支出を抑える仕組みを作ることで、インフレやユーロの価値低下を防ぐ狙いがあった。

 しかし、情報技術(IT)バブル崩壊後の景気低迷によって各国とも経済が伸び悩み、景気下支えの減税などで財政赤字が拡大した。2004年は、ユーロ圏の半数の6か国が協定違反になる見込みだ。

 特に深刻なのは、ユーロ圏1、2の経済大国である独仏で、共に2004年まで3年連続の違反が確実だ。EUの執行機関である欧州委員会は両国に赤字削減への対応を求めたが、意思決定機関の財務相理は昨年11月、両国に対する赤字是正手続きを凍結し、協定は事実上“骨抜き”にされた。ドイツは2005年も赤字が3%を突破するとの見方も出ている。

■配慮

 欧州委は9月3日、協定見直し論議のたたき台となる案を発表した。最大のポイントは、協定違反国に赤字是正の手続きを進める上で、経済情勢や各国の事情を考慮している点だ。

 不況期で急激な収支改善が難しい場合や、累積債務の額が低くて財政の「持続可能性」が高い場合は、赤字縮小を達成するまで一定の猶予を与えることも盛り込んだ。同時に、赤字が3%を超えそうな国に、欧州委が財務相理の承認なしに「早期警告」を行うことができるとするなど、過剰赤字に陥らないための予防措置も強化した。

 独仏の過剰赤字を追認したとも言える欧州委案の背景には、5月のEU拡大で新規加盟した東欧諸国への配慮もにじむ。これら「ユーロ導入予備軍」は、多くの国が3%ルールに違反しており、現在の協定のままではユーロの早期導入が難しいからだ。

 さらに、欧州委で協定を監視・運用する通貨問題担当委員が今年4月、赤字是正を巡って独仏と激しく対立したペドロ・ソルべス氏(スペイン)から、加盟国の経済成長促進を重視するホアキン・アルムニア氏(同)に交代したことも、見直しに向けた追い風となっている。

■賛否両論

 欧州委案に対し、独仏は「私が以前から求めていたものだ」(ハンス・アイヘル独財務相)、「正しい方向に向かっている」(ニコラ・サルコジ仏経済・財務・産業相)と歓迎の意向を示した。一方、3%ルールを順守している中小加盟国は、「協定の弱体化を懸念する」(オーストリアのカールハインツ・グラッサー財務相)と反発するなど、意見対立が表面化している。

 さらに、ユーロの「番人」である欧州中央銀行(ECB)のジャンクロード・トリシェ総裁も9月の欧州議会の演説で、「赤字是正手続きの緩和を認める提案は、欧州の通貨制度の安定と健全性には貢献しない」と欧州委案を批判しており、議論の行方は不透明になっている。

 今後、見直し論議はEU財務相理事会で進められるが、具体的なスケジュールは何も決まっていない。欧州委の提案自体も具体性を欠いており、「実効性ある見直し案がまとまるには、1年程度かかるのではないか」(EU関係者)との見方も出ている。






2007-03-10 (土) 21:41:06 (3816d)