三段階論

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三段階論

  • 経済学者宇野弘蔵が提唱した経済学研究の方法論。
  • 経済学研究をその研究対象の次元の差に基づいて「原理論・段階論・現状分析」の三分野に分ける立場。
  • 参照:宇野理論

宇野は,戦前の日本資本主義論争を労農派に近い立場から両派を批判的に考察しつつ,日本社会に残存する封建的ないし非資本主義的諸関係は,資本の運動自身が必然的に生みだしているのではないか,すなわち資本主義が一定の段階に達すると,その運動様式は《資本論》に示された運動法則と異なってくる必然性があるのではないか,と考え,《資本論》と後進国における資本主義化との論理的関連を体系的に組み立てるよう追究した。その成果が《経済原論》(上下。1950,52),《経済政策論》(1954),《経済学方法論》(1962)等であった。その中でほぼ次のような経済学体系が構築されていった。

第1に,《資本論》は,当時のイギリス資本主義がもっていた純粋化傾向,すなわち周辺の非資本主義的諸関係が分解され,資本家,賃労働者,土地所有者の三大階級のみが形成されていく傾向にもとづく理論であり,したがって,《資本論》の全体を純粋資本主義の理論すなわち〈経済原論(原理論)〉として純化しなければならない。第2に,しかし現実の資本主義は,19世紀後半以降,その純粋化傾向を阻害されて変質していった。そこで,経済原論を基礎としながらも,その歴史的変化の必然性を解明する〈段階論〉が必要である。段階論では,まず,イギリスに資本主義が確立する以前の時期を重商主義段階とし,そこでの支配的資本,すなわち商人資本の蓄積傾向を展開する。ついで,イギリスに資本主義が確立した1820‐30年代から,それが最も自立的に運動していた60年代ころまでを自由主義段階とし,この時期の支配的資本,すなわち産業資本の蓄積機構を解明する。さらに,1870年代から第1次大戦までの時期を帝国主義段階とし,そこでの支配的資本,すなわち金融資本の蓄積機構を,おくれて資本主義化したドイツを典型とし,イギリス,アメリカを類型として規定する。こうして段階論では,資本主義の歴史的発展動向と各国資本主義の変形が理論化される。したがって各国資本主義分析も,このような段階論を媒介として進められねばならない。第3に,第1次大戦以後の世界資本主義は,第1次大戦期以降社会主義の成立と拡大をみたのであるから,一種の移行期として分析されねばならない。それは,段階論を基礎としながらも,各種の経済政策や労働運動等を含んだ総括的な現実分析,すなわち〈現状分析〉として行われねばならない。およそ以上のような3段階論であった。






2007-03-10 (土) 21:41:15 (5064d)