実存主義者

「実存主義者」についてのメモ。実存主義者とは…
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主な実存主義者と業績 †

キルケゴール †

  • デンマークの思想家,実存主義の先駆者。とくに抽象的で超合理的な体系を構築したヘーゲルの弁言正法を厳しく批判。また熱烈なキリスト者であり,人は「いかにしてキリスト者となるか」を問いつづけた(有神論的実存主義)。
  1. 主体的真理
    • 情熱なく無関心に探求できる抽象的な客観的真理に対して,人がそれによって生きかつ死ぬことができるような真理(イデー)を主体的真理という。真理とは,生きることと無関係に存在するのではなく,「いかに生きるか」を問うなかで探求されねばならない。キルケゴールはこのような異理を「私がそのために生き,そして死にたいと思うようなイデー」とよび,生きることと無関係に探求される抽象的・客観的真理(例えばヘーゲルの体系)を批判。
  2. 単独者
    • 自己を見失うことなく,単独で主体的真理を探求する理想的な人間を単独者という。生涯キリスト者であったキルケゴールによれば,神との関係を失ったとき,人間は絶望におちいるが,この絶望をきっかけとしながら,神を求めて命がけの飛躍を決断するとき,人間は主体的真理を実現することができる。
  3. 実存の三段階
    • 人間の生き方は,絶望を経験することによって深まっていく。キルケゴールはそれを三つの段階にわけて考た。
    1. 美的実存
      • ひたすら快楽を追求するが,決して満足できず倦怠感・虚無感におそわれ,絶望におちいってしまう段階。
    2. 倫理的実存
      • 快楽の追求を断念し,自己の倫理にしたがって生きようとするが,良心的であろうとすればするほど,逆に無力感におそわれ,絶望におちいってしまう段階。
    3. 宗教的実存
      • 絶望のただなかにある単独者としての人間が,神と出会い真の人生を手にすることができる段階。
  4. 主著
    • 『あれか,これか』(1843年)
      • 二者択一を強調
    • 『死に至る病』(1849年)
      • 死に至る病とは絶望のことで,キリスト教のいう罪

ニーチェ †

  • ショウペンハウエルの影響を受け,ラディカルなキリスト教文明批判を展開した。25歳の若さでバーゼル大学古典文献学教授に就任するが,晩年は狂気のなかで怪死する。キリスト教を徹底批判したことから,無神論的実存主義に分類される。
  1. ニヒリズム
    • ニヒリズムとは,既存の道徳・宗教や価値観を破壊しようとする立場。ニーチェはニヒリズムの立場から,西洋思想を2000年間支配しつづけたキリスト教道徳と対決した。ニーチェの「神は死んだ」という表現は,キリスト教道徳が人間の退廃や欺瞞をもたらしたことを厳しく告発。
  2. ルサンチマン
    • キリスト教道徳(博愛主義)の背後に隠蔽された弱者の恨みの感情。ニーチェによればキリスト教の教えの背後には,虐げられた弱者の恨み(ルサンチマン)が存在している。博愛主義とは,虐げられた弱者が主人に復讐しようとする恨みのあらわれにすぎない。ニーチェは,このような弱者の道徳を奴隷道徳とよび,自己を肯定・賞賛する支配者の貴族道徳を対置。
  3. 力(権力)への意志
    • 力(権力)への意志とは,あらゆる障害を克服し,よりいっそう大きな存在になろうとする生命力。ニーチェは,キリスト教の博愛主義人間を凡庸化・矯小化したことを批判し,人間が本来従うべき意志のあり方とした。
  4. 永劫の回帰
    • 世界に意味と目的を与えていた神が死んだのち,世界はただ永遠に目的も意味もなく繰り返されるだけである。このような世界の無意味な繰り返しを永劫の回帰という。ニーチェは目的と意味のない世界に生きることを己の運命として受け入れ,それを首定する運命愛を強調。
  5. 超人
    • 人間を凡庸化するキリスト教道徳を否定し,カへの意志によって目的と意味のない世界(神なき世界)に新たな価値を創造しつつ生きること(能動的ニヒリズム)が,ニーチェの理想であった。このような意志をもつものを超人という。
  6. 主著
    • 『ツァラトウストラはかく語りき』(1883年−85年)
      • 超人思想の展開
    • 『力(権力)への意志』(遺稿)
      • 永劫の回帰の思想と運命愛

ハイデガー †

  • 「存在とは何か」という問題を間いつづけたドイツの哲学者。自己の哲学の担い手をナチズムに見いだし,一時期ナチスに協力したといわれる。神や超越者に依らない思索を展開したことから無神論的実存主義者に分類される。
  1. 現存在
    • 「存在とは何か」という問題を立てることができるのは,人間だけである。ハイデガーは,存在について問うことができる人間のことを現存在とよんだ。
  2. 世界−内−存在
    • 現存在としての人間は,単独で存在しているのではなく,他の現存在(他者)と互いに関係しあって生きている。このように他者と共に存在している現存在のあり方を世界−内−存在という。世界−内−存在としての人間は,日常生活のなかで他者や世間に対して関心(憂慮)を向けながら生きるが,この他者への過剰な関心によって,人間は自己の本来のあり方から日をそらしている。
  3. ひと(das Man)と良心のよび声
    • 日常生活のなか(世界−内−存在)で,他者や世間に関心を向けすぎ自己本来のあり方(実存)に目をそらしている人間を「ひと」とよんだ。ハイデガーによれば,時間に制約されている現存在は,いつかは死すべき運命にあるが,「ひと」はこの死という事実に目をそらして暮らしている。「ひと」とは,このような死への存在という自己の本来的なあり方(実存)を直視しない人間のことである。しかし,「ひと」も,やがて本来のあるべき自己が発する良心のよび声によって,真の自己にめぎめると考えられた。
  4. 主著
  • 『存在と時間』(1927年)
    • 死に至る存在である現存在の分析

ヤスパース †

  • はじめ医学を学び精神医学・精神病理学者となるが,やがて哲学へと転じて実存主義哲学を打ち立てる。超越者との交わりのなかに真の自己のあり方を見いだそうとしたことから,有神論的実存主義に分類される。
  1. 限界状況
    • 死・苦悩・闘争・罪責のように,人間にはどうすることもできない状況を限界状況という。限界状況に直面し,自己の有限性・絶望・不安を感じるなかで,自己をこえた超越者に出会うことができる。
  2. 実存的交わり
    • 限界状況に直面することによって真の自己(実存)にめざめた人々が,超越者を求めるなかで互いに連帯していくことを実存的交わりという。この過程をヤスパースは愛しながらの戦いとよんだ。
  3. 主著
    • 『理性と実存』(1935年)
      • 理性と実存との密接な結びつきを解明

サルトル †

  • 哲学者としてだけでなく,作家・評論家・社会運動家としても活躍した,戦後フランスを代表する行動する知識人。
  1. 実存は本質に先立つ
    • 人間は「何であるか」(本質)が明らかになる前に,存在してしまっている(実存)。つまり人間という存在に関しては,すでに存在しているという事実が先行しているのであり,あとから自らの決断によって本質を創りあげていかねばならない。このような決断を投企という。サルトルはそこに,人間の自由と不安をみた。
  2. アンガージュマン
    • 自由をもった人間は,同時に自己が選択したすべての行為に責任を有している。しかし,この責任は自分一人にとどまるのではなく,社会全体に対しても向けられる。そのために積極的に社会に参加し,矛盾した社会を変革していかねばならない。サルトルのいう変革のための社会参加をアンガージュマンという。





2008-05-26 (月) 17:09:18 (3317d)