社会的ジレンマ

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social dilemma

社会的ジレンマ †

 囚人のジレンマと同質の利得構造をもつ,通常は大きな集団でみられる相互依存関係。我々の社会にみられる具体的な社会的ジレンマとして,二つのタイプが識別されている。
 一つはハーディン(Hardin, G.1968)によって明らかにされた共有地の悲劇とよばれているタイプで,基本的には,個人の利己的な利益追求が,社会的コストを発生させ,最終的に社会全体を壊滅的な状況に陥れる事態である。二酸化炭素ガスによる温室効果,フロンガスによるオゾン層の破壊,熱帯雨林の破壊,自動車の排気ガスによる空気の汚染,人口の増加による食料・資源の枯渇等の問題がこのタイプの具体的な例としてあげられる。また,災害等の緊急事態で個人の避難行動が引き起こすパニックもこのタイプの社会的ジレンマと見なされる。
 いま一つは,オルソン(Olson, M.1965)が公共利益問題を分析して明らかにした_ただ乗り問題とよばれているタイプである。一般的に,組織は公共利益達成のために存在しているが,成員は組織を維持するための個人的なコストを負担しなければならない。しかし,この場合,「ただ乗り」が可能であり,もしも大多数の人々がただ乗りをすれば,組織を維持できず,公共利益の達成も不可能になる。これは,国家とか労働組合のように,公共の利益を達成するための組織を作り,維持しようとする時に,不可避的に生じる問題であると考えられている。
 どちらのタイプも,個人的利益の追求と社会的利益の確保が両立不可能な事態で,本質的には,N人タイプのジレンマ・ゲームと見なされている。各個人は,第一のタイプでは,社会にコストを負担させても個人的な利益を追求するのか,放棄して社会的コストを回避するのか,二番目のタイプでは,社会的利益のための個人的コストを払うのか,払わないでただ乗りするのか,という選択を迫られ,囚人のジレンマと同様の状況に置かれている。そのため,この種の事態は広く社会的ジレンマとよばれている(Dawes, R. M.1980)。






2007-03-10 (土) 21:42:13 (4236d)