市民革命の後に発生した近代市民社会で初期資本主義は発生した。この時代に発生する疾病・事故・失業・貧困・生活不安などは個人的な問題として考えられており,社会的な問題とは考えられていなかった。この時期まででは,イギリスのエリザベス救貧法(1601年)が貧民・浮浪者対策ではあるものの労働能力を持たない者に対して国家が生活保障を行った最初の例としてあげられる。それ以前にあった貧民救済の諸法令がまとめられてできたもの。対象となったものはマニュファクチュアで労働訓練などが行われた。
19世紀の後半から資本主義がすすみ,景気の循環などによって不況が深刻化すると失業者が大量に出るようになり,この責任を個人に転化することは難しくなり,社会的問題として考えられるようになっていった。こうして,国家による国民福祉の実現を達成するための施策が行われるようになった。
社会保障:国際的な取り組み
1944年に行われたILO総会で「ILOの目的に関する宣言」。これは「保護を必要とするすべての者に基礎的所得と包括的な医療を与えるように社会保障を拡充する」ように勧告しており,フィラデルフィア宣言とも呼ばれる。
ILOは1952年に102号条約(社会保障の最低基準に関する条約)を採択している。
また,1948年には国際連合総会で世界人権宣言が採択された。この第25条ですべての人に生活の保障を受ける権利があることを宣言している。