- 比較政治学者のアーモンドは、イーストンと異なるかたちで、政治体系のモデルを提示した。
さまざまな政治社会を比較する際に有用な枠組みを作ることが考えられている。
- 構造・機能主義による政治体系論
- 発展途上国などを対象にしているので、政治体系の変動と発展をうまく分析できるように考えられたモデル
- アーモンドは、ヴァーバとともに政治文化論を展開。
- ある政治社会の構成員が政治に対してどのような態度をもっているかを調べ、その主要な型をとらえていく。
- 大半の国民が、政府の命令には従わなければならないから、政府の言うことには関心を示すけれども、自分自身が政治的な要求をしたりはしない国もある。逆に積極的に関与していく国民の多い国もある。
- アーモンドらは、政治文化について次の三つの類型を立てている。
- 未分化型(地方型)
前近代社会などでは、政治的、経済的、社会的役割が分かれていない。専門的な政治制度、役職は未分化なので、そこでは政治的対象に明確な関心をもつことはできない。また、狭い地域社会で自給自足的な暮らしをしているので、中央政府には目が向かない面がある。
- 臣民型
- 政府の権威を明確に意識しており、政府の下す決定(出力)には関心を向けるが、自分を積極的な参加者とは考えない、受動的な型。戦前のドイツや日本はこれに近いといわれる。
- 参加型
- 政治体系の出力だけではなく、入力にも関心をもち、積極的に要求をしたり、考えの近い政党や政治家を支持していくという型。
- アーモンドらはまた、民主政治の安定には、参加型と臣民型がほどよく混合された状態がよいと考え、それを市民文化と呼んでいる。イギリス、アメリカの政治文化が、それにあたるとされた。
| 例 | 関心 |
未分化型 | 発展途上国 | 出力・入力は無い |
臣民型 | 戦前の日独 | 出力のみ。入力は消極的 |
参加型 | 英米 | 入力、出力ともに関心 |
| 一般的対象としての政治体系 | 政治体系の入力対象 | 政治体系の出力対象 | 政治的行為者としての自己 |
未分化型 | × | × | × | × |
臣民型 | ○ | × | ○ | × |
参加型 | ○ | ○ | ○ | ○ |
○…積極的な態度、×…消極的な態度