政党 > 政党システム
各国にはそれぞれ政党の数や勢力関係に違いがある。それに着目して類型を立てるのが政党システム(政党制)である。
従来はデュヴェルジェによる分類が有名であった。
- 1党制(one-party system)
- 全体主義政党や権威主義政党として1党のみが存在を許されたナチス・ドイツやフランコ体制化のスペイン、旧ソ連などが当てはまる。
- 2党制(two-party system)
- イギリス、アメリカを代表としてアングロ・アメリカン(Anglo-American)モデルと呼ばれており、イギリスの旧植民地であった国々に多く、その多くが小選挙区制をとっているために、「デュヴェルジェの法則」が広く受け入れられてきた。
- 多党制(multi-party system,pluralism)
- 基本的に主要政党が3つ以上ある政党システムを意味する。
だが、デュヴェルジェの分類には多くの難点があるため、現在ではサルトーリによる分類が用いられている。
政党間競合のない「非競合的政党制」と競合のある「競合的政党制」をまず分類し(制度上、自由選挙が認められているかなどで分けられる)、さらに7つに分類する。
サルトーリは多党制を、「3つ以上の政党が存在するがどの政党も単独では政権を担当できずに、その結果、連立政権が形成される状況の政党システム」と定義し(ゆえに、55年体制は除外される)、多党制を3つに分類している。
- 非競合的政党制
- 一党制
- 文字通り、一党しかなく、それが支配している体制。中国、旧ソ連、ナチス・ドイツ。
- ヘゲモニー政党制
- 形式的には複数の政党が存在しているものの、実際には一党が支配しているもの。制度的にも政党間に競合しえなくなっている。共産主義下のポーランド。
- 競合的政党制
- 一党優位制
- 日本を多党制と見なすこともできるが、サルトーリ(Sartori,G.)に代表されるように現代の政党研究では「1党優位制(predominant-party system)」として多党制とは区別される場合が多い。
- 1党優位政党システムとは、日本の1955年から93年までの「55年体制」と呼ばれた政党システムのように、1つの政党が他を圧倒して単独政権を形成するほど優越している状況をさす。
- 二大政党制
- 穏健な多党制(moderate pluralism)
- 政党の数が3〜5と、あまり多くなく、政党間のイデオロギーの相違が大きくない。この場合、連立政権でもさほど不安定とはならない。
- 分極化された多党制(polarized pluralism)
- 政党間のイデオロギーの相違も大きい。連立政権は不安定なことが多く、「多党制は政局不安定を生む」というイメージを作っているのはこのケース。
- 原子化された多党制(atomized pluralism)