創造的破壊

「創造的破壊」についてのメモ。創造的破壊とは…
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創造的破壊 †

creative destruction
シュンペーター(J. A. Schumpeter)の経済発展論の核心となる概念であり,革新的企業家による新機軸(技術革新,イノベーション)によって古い均衡が破壊され,新たな経済発展のパターンが創出されることを指す。

資本主義の[動態性・投機性・生産性] 資本主義の企業活動は,営利を求めて機会をうかがう一方で経営を合理的に組織する。市場ではどのような商品がよく需要されているか注意を払い,それに対応した供給を行う。また,生産コストを引き下げるために合理的技術の利用をはかり,労働・生産の組織を効率的に編成する。しかし,資本主義の活動はそこにとどまらない。資本主義企業は既存の需要・供給構造や技術体系,労働・生産体系のもとで合理的・効率的に対応するだけではない。むしろ,そうした既存の条件に積極的・能動的に働きかけて変化を促し,新しい条件をつくりだしていくことにこそ,資本主義の活動の本領がある。資本主義企業が利潤獲得競争に打ち勝つためには,新しい製品を供給し,新しい市場を開拓し,新しい技術を開発し,新しい生産方法や輸送方法をくふうし,新しい労働体系や経営体系を組織していかねばならない。資本主義の活動はこのように既存の経済構造・生活体系に働きかけて変化をつくりだし,売上げを増大しコストを引き下げることによって,利潤を獲得していく。いいかえれば,利潤の根拠,すなわち資本主義経済においてどの企業も利潤を得て活動できる可能性があるという根拠は,利潤の獲得機会をみずから積極的・能動的につくりだしていく資本主義企業の活動それ自体のうちにある。
 資本主義の活動が既存の経済構造・生活体系を革新していくものであるということは,資本主義の経済がたえず変化していくダイナミックな経済であることを意味している。J. A. シュンペーターは資本主義経済のこの動態的性格を強調した。彼は,利潤獲得のために古いものを破壊し新しいものを創造していく資本主義の不断の活動を物と力の〈新結合〉による〈創造的破壊〉とよび,この過程こそ資本主義の本質的事実であり,資本主義はそれゆえ本来的に発展的・動態的性格をもつとした。
 新しい製品・技術・組織をつくりだし,またそのために投資することは,将来の利益をめざしてある選択を行うことである。しかし,未来は一般に不確実であり,まして資本主義経済の動態性はその不確実性を増幅する。したがって創造的破壊の過程にはつねに危険がつきまとう。それが成功したときには大きな利益が得られるが,失敗したときには大きな損失をこうむる。革新の推進者である資本家・企業者は合理的な投資計算を行い,経済の動向を読んで決定を下すが,それはまた不確実性に対する賭けでもある。しかし,それを行わなければ,将来の利潤は保証されないし,また競争にも勝ち残れない。資本主義経済はこの点でつねに投機的な側面をもっている。
 企業による創造的破壊は,技術革新を促進し,高水準の投資を維持させる。その結果,生産力の質的・量的な上昇が必然的にもたらされることになる。こうして資本主義経済は生産性の上昇を必然にする経済であり,成長を必然にする経済である。それは,現実には,一様な拡大の過程ではなく,好況・不況の繰返しという景気循環の過程をとりながら発展し,高度な生産力水準と生活水準を実現することになった。






2007-03-10 (土) 21:44:32 (5593d)