第二の産業分水嶺

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第二の産業分水嶺 †

  • マイケル・J・ピオリ/チャールズ・F・セーブル『第二の産業分水嶺』, 山之内靖(訳)

経済社会の成長と繁栄の可能性は大量生産システムの超克にある。この命題を、ミクロ・マクロ経済、産業政策、労使関係、技術革新等、多面的な国際比較分析を通して論証する。

第1章 序論
第2章 大量生産体制―宿命的かつ盲目的な選択
第3章 巨大株式企業
第4章 経済の安定化
第5章 グローバルな視点・ミクロの視点
第6章 保存された諸事例―アメリカ以外の諸国における大量生産体制とクラフト的生産体制
第7章 大量生産体制の危機
第8章 危機に対する企業の反応
第9章 歴史、現実、および各国の戦略
第10章 繁栄の条件―ケインズ主義の国際化と柔軟な専門化
第11章 アメリカと柔軟な専門化

ピオーリ&セイベル「柔軟な専門化(flexible specialization)」論 †

 1970年代以降の経済危機を大量生産に基礎を置く産業モデル(フォーディズム)は限界と考える。フォーディズムの危機を逸早く脱出した国々は,自動車産業を中心とする日本(トヨティズム),職人の集積を基礎にした第三のイタリア,機械工業を中心に高度な熟練工による付加価値生産を実現している西ドイツである。これらの国々では,それぞれのやり方で市場の変化や多様化に柔軟に対応した生産を実現している。そこでの共通項が,フォーディズム的な画一的大量生産から,「柔軟な専門化」による多様なニーズに対応する生産への移行である。こうした移行を,ピオーリ&セイベルは,19世紀の機械制大工業の登場に匹敵する「第二の分水嶺」としてとらえた。

柔軟な専門化論に対する批判 †

日本,西ドイツ,第三のイタリアが,はたしてポスト・フォーディズムの文脈で理解されうるのかという疑問は当然予想されるが,理論的な問題としては,柔軟な専門化がフォーデイズムヘの代替戦略たりうるのか,つまり中小企業や小ロット生産の柔軟性や活力を認めたとしても,それがフォーディズムに取って代わるものなのか,あるいはそれを補完するものにすぎないのかという問題がある。ポスト・フォーディズム論は生産システム・レベルで論じられており,フォーディズムが示唆するようなマクロな政治経済モデルを提示するものとはなっていない。






2007-03-10 (土) 21:45:13 (4458d)