良知を最大限に発揮させること。良知はもと孟子の唱えたもので、王陽明はこれを陽明学の根本的な指針とした。
→良知
中国,明の思想家,王陽明の中心学説。『大学』の「致知」の「知」を『孟子』尽心上篇の「良知」で解釈した説。陽明49歳のとき,教導のスローガンとして掲げられた。これにより,47歳の年に成った『大学古本序』も改定している。この説の掲示以前,種々の論(知行合一,静坐,格物)が掲げられたが,この「致良知」説が最善のものとされ,陽明晩年の総決算がこの句にこめられているという。自己の固有する,是非善悪を直覚的に弁明する心の作用が「良知」であり,その良知に従って事物に対処し,かつその対処を通じて良知を顕現させるのが「致良知」の意味であると説く。