中央集権国家

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中央集権国家の成立 †

  • 十字軍の影響で遠隔地商業(東方貿易やバルト海貿易など)が発展すると、農村にも貨幣経済が流入。貨幣経済の普及で生産物が商品化されると、領主も貨幣を必要とした。そのため、13世紀頃から農奴の賦役義務を廃止し、領主は直営地を農奴に貸与して小作料をとる方法に転換するとともに、貨幣で代納させるようになった。さらに、領主は封建的諸特権を貨幣との交換で放棄するようになり、次第に農奴の隷属性は緩和。

都市の自治的発展につれて「都市の空気は自由にする」の風潮が広まり、農奴の都市への逃亡が激増し、さらに百年戦争中に全ヨーロッパの三分の一を病死させた黒死病(ペスト)が蔓延し農村労働力の大減少を招いたので、領主は労働力確保の為に農奴の待遇を改善。しかし、時として労働強化によって事態を打開しようとした(封建反動)こともあった。それは、かえってイギリスのワット=タイラーの乱、フランスのジャックリーの乱などの農民反乱をおこすことになり、それに対する苛酷な農民抑圧により一層農村の荒廃を招いた。領主が農奴への譲歩を余儀無くされたエルベ川以西では荘園制の崩壊と農奴解放で独立自営農民が創設された。

このように荘園の変質や十字軍、百年戦争などによる経済的打撃により、封建領主の地位が低下すると、国王は諸侯からの特権の収奪と新興市民階級との提携を軸に王権の強化に努め、中央集権化を推進。イギリスでは、エグバートの統一以後のアングロ・サクソンの王朝は、しばしばノルマンの侵入を受けていた。西フランクに侵入したノルマンは10世紀初頭にロロの指導の下でノルマンディー公国を建設していたが、イギリスのウェセックス王家の断絶を機に、ノルマンディー公ウイリアムがイギリスに侵入(ノルマン征服)し、ノルマン朝を開いた。ノルマン朝以後中央集権化が始まる。ノルマン朝は征服王朝であったから王権が強く、次のプランタジネット朝もフランス西部に領地を所有し、強い力を保持していた。しかし、ジョン王の時、カンタベリー大司教の叙任問題で教皇インノケンティウス3世から破門され、フランス王フィリップ2世に敗北しフランス内の領土を喪失するなど失政が続き、貴族と都市の市民からマグナカルタ(1215年)を承認させられ、王権の制限を受けることとなった。次のヘンリー3世がマグナカルタを無視したことから、シモン=ド=モンフォールらが挙兵し、イギリス議会の起源とされる議会を成立(1265年)。シモン=ド=モンフォールの議会では、騎士や市民の召集が不安定であったが、エドワード1世の時に「模範議会」が成立(1295年)し、これ以後イギリスの議会は規則的な議会召集が決められ、従来の貴族、僧侶によって独占された封建議会から身分制議会へと変質。しかし、この議会も王の諮問機関であって、立法権をもつ現代の議会とは同質のものではなかった。

フランスでは、カペー朝の王権が弱く典型的な封建国家であったが、ジョン王を破りフランス内の英領を回復したフィリップ2世の時から王権が強化されていく。アナーニ事件で教皇ボニファティウス8世と争ったフィリップ4世は、国民の支持を得るため、僧侶、貴族、平民から構成された三部会を召集した(1302年)。これが、フランス議会の起源とされる。14世紀前半にカペー朝が断絶してヴァロア朝が成立すると、英王エドワード3世は、フィリップ4世の外孫であることを口実としてフランス王位継承権を主張し、フランスに侵入した。ここに百年戦争が開始された。きっかけは王位継承問題であったが、真の原因は、毛織物産地のフランドル地方をめぐる争奪とフランス内に残る英領をめぐる抗争であった。戦況はフランスに不利であったが、ジャンヌ=ダルクの出現でフランスが勝利を収め、イギリスはカレー以外のフランス内領土を失い、撤退した。この戦争の結果諸侯、騎士が没落し、ヴァロア朝のシャルル7世、シャルル8世による財政再建と中央集権化が進展した。
百年戦争に敗北したイギリスでは、ランカスター家とヨーク家が王位を巡って争い、内乱をおこす(薔薇戦争)。この内乱の結果、イギリス内の諸侯は疲弊し、テューダー家のヘンリー7世が即位して絶対主義化が進行。

  • 古典荘園
    • 領主直営地経営と農民保有地経営を基礎とし、農奴に賦役と貢納が課せられていた荘園。フランクのカロリング朝期に成立し、10世紀頃に西欧全域に波及。
  • 純粋荘園
    • 13世紀頃から農奴の賦役義務を廃止し、領主が直営地を農奴に貸与して小作料をとる方法に転換た荘園をいうし。純粋荘園では次第に小作料を貨幣で代納させるようになり、さらに、領主が封建的諸特権を貨幣との交換で放棄するようになり、次第に農奴の隷属性は緩和されていった。
  • 都市の発達とギルドの発生
    • 十字軍を契機として、遠隔地貿易が発展し、それに伴い都市が発達した。武力や金銭によって特許状を獲得した自治都市(帝国都市)の内部には、生産・販売を独占する目的で商人ギルドや、同職ギルドが結成。
    • 都市は王や諸侯からの共同防衛と貿易利益の独占を狙って、都市同盟を結成。12世紀の北イタリアのロンバルディア同盟と13世紀の北ドイツのハンザ同盟が代表的。





2007-03-10 (土) 21:45:32 (3910d)