日本の企業組織

「日本の企業組織」についてのメモ。日本の企業組織とは…
HOME > 日本の企業組織

かんばん方式

日本組織における一般的な情報・インセンティブ特性

青木昌彦『日本企業の組織と情報』(東洋経済新報社)1989年

 イノベーションは新しい技術的知織の生産であるから、日本企業の文腺のなかで行われるR&Dプロセスの基本的な性質と方向性は、その組織内部において情報が処理され、用いられる方法や、そうした情報処理を支えるインセンティブの構造により大いに規定されると考えられる。そこで最初に企業の製造部門あるいは政府・省庁の官僚組織を問わず、日本の組織一般に共通に観察される三つの基本的特性をまず叙述しよう。そしてこのような一般的特性と日本企業におけるR&D組織における特性との間には強い同型性があることを議論する。この同型性は日本企業におけるR&D組織の特性が偶然なものであったり、容易に変更可能なものであったりするのではなく、また日本産業のイノベーションの性質、方向はそのような特性によりかなり強く形作られるであろうことを示唆する。

仝従戝亮韻悗琉預検、「総合的技能」「文脈的技能」

 日本の組織では、作業のレベルにおいて西欧の場合ほど、専門化の経済ということにたいする力点の置き方が強くない。間額解決は作業的任務から分離されているというよりは、統合されている。たとえば、職場における労働チームは、機械の故障、欠勤、欠焔生産物といった局所的緊急事態に、技術者、レリ−フマン、検査責任者といった外部エキスパートに依存することなく、自主的に村処する広範囲な責任を委譲されている。情報的には日本組織のこの局面は、作業レベルにおける学習によって可能となる現場情報のよりよい利用を目指していると解釈され、公式の訓練によつ獲得される専門化技能の集約的使用と対照されうるであろう、政府官僚の内部においても、同様な特性は、管轄部門の相互的自律性の傾向として現われる。

半水平的コミュニケーション →「意思決定の分権性」

 多数の機能単位が協同して問題解決にあたらなければならないときには、共通の上位者の明確な方向づけなしに、それらの関連する単位が直接にコミュニケートするのがより典型的である(製造部門におけるカンバン・システムであるとか、あるいは行政組織における稟議制度が例としてあげられる)。上位者が裁定する場合でも彼らの役割はどちらかというと、管理的というより、裁定的性質であることが多い。日本の組織は、中央管理の権威により明確に指導された首尾一貫した一体性をもつというより、これらの半自立的な部分単位の連合体として現われる一面をもつ。

ランク・ヒエラルキー → 「人事管理の集権性」

 もし、各機能単位が、自立的問題解決と明確なヒエラルキー的指令なしの半水平的コーディネーションの権限を委譲されているとすると、それぞれの単位がそれぞれに独自の性質を発展させ、この部分利益を組織目的の見地からいうと非効率的方法で追求することになるかもしれない。このような局所的利益の発生にたいする安全弁として、また半自立的問題解決力を涵養する学習のインセンティブとして、日本の組織はランク・ヒエラルキーを利用している。製造業および官僚組織の双方において、人材(労働者、官鰊)は年功とメリットに基づいてランクづけられている。破らは生涯にわたりより高いランクへの昇進のスピードをめぐり激しく競争する。人々は個人的技能にかんする抽象的な尺度により評価されるのではなく、集団的・半自立的問題解決能力、学習達成度、あるいは他の人とのコミュニケートする能力などにより評価される。昇進は往々として他の部門への配転という形式をとる。明らかに管頼区分をこえた人員の移動は、機能的単位の半水平的コミュニケーションを容易にし、それぞれの単位の部分的利益の発展と追求とを抑制する機能をもっている。人員評価の長期性と管轄区分をこえた配転を強調することにおいて、日本の組織では「人事部」が、西欧におけるよりはるかに重要な役割を果たしている。いいかえれば、情報における分散化への傾向性は。インセンティプの構造にかんする集中化への傾向により。バランスが取られているということになる。






2007-03-10 (土) 21:47:07 (5153d)