福祉国家の発展

「福祉国家の発展」についてのメモ。福祉国家の発展とは…
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福祉国家の発展 †

 福祉国家の発展はさまざまな視点から捉えられてきた。

福祉国家・発展のロジック…

  • 「産業社会のロジック」による説明
    • 19世紀ヨーロッパでは,工業化によって多くの人口が都市に移動した。個々人の保障は市場の結果次第となり,病気や高齢化や雇用者の経営方針によって失業が発生すると,人々は生活手段そのものを奪われてしまった。貧困にあえぐ労働者が街に溢れれば社会秩序が脅かされかねないため,国家は,なんらかの介入を実行せざるをえなくなった。産業化は他方,教育・通信・情報の水準を高め,社会の下位構成員にも,自らの生活条件を改善する、ための政治活動の機会を与えた。
  • 機能主義的アプローチ
    • C・オッフェ(Claus Offe),スコッチポル,M・ウィーア(Margaret Weir)らによれば,歴史的にみて,社会扶助や給付金が過去の雇用実績と次第に結びつけられるようになったため,労働者は安定的な賃金や雇用の形態を受容するようになった。注目されるのは,福祉国家が規則的な雇用を制度化しただけでなく,政治文化をも制度化した点である。さまざまな福祉の受給資格を得るために,労働者は過度の飲酒や無軌道な行動を慎み,家庭では規律を守らせ,子供たちをきちんと学校に通わせるようになった。労働者を対象として福祉国家が発展したヨーロッパとは異なり,アメリカ合衆国においては,当初は兵士や退役軍人を中心に福祉政策が展開された。いずれの場合においても,若く仕事ができる間は福祉国家の維持に頁献し,高齢化し必要になった時にその給付を受けるというシステムは,人々と国家とのつながりを強化した。
  • パワーリソース・アプローチ/権力資源論
    • 福祉国家の発展を観察する際に重要なのは,福祉国家の経済的側面だけでなく政治的側面をも同時に射程におくことであろう。すなわち選挙や利益集団の活動と政府の政策の相互作用を注意深く検討することが,福祉国家発展のより深い理解につながるだろう。現代福祉国家の前提は,市民によって選ばれた政府が市民に物質的保障を提供するという考え方である。
    • W・コルピ,G・エスピング=アンデルセン,J・D・スティーヴンス(John D.Stephens),F・G・キャッスルズ(Francis G.Castles)らは,市場のパワーの源泉になっている経済的リソースが不平等に分配されている一方,投票権や市民権など政治的パワーのリソースは平等に分配されている点に注意を促す。市場において弱いリソースしか持たない大多数の人々は,政治における数的優位性を活用することで,選挙を通じて自己にとって有利な条件を作り出すことができる。このような試みは,市場における優位性を保ってきたアクターの抵抗に合い,市場と政治の間で緊張が生じる。コルピらは,この緊張が現代福祉国家を発展させてさたと論じる。
    • このような議論は,スウェーデンを初めとする社会民主主義的福祉国家の戦後の成功を念頭においたもので,「パワーリソース・アプローチ」という。

福祉国家の危機






2007-03-10 (土) 21:48:10 (3878d)