文化資本

「文化資本」についてのメモ。文化資本とは…
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(フランス) capital culturel

文化資本 †

  • フランスの社会学者ブルデューの用語。経済資本に対していう。三つの形態をもち再生産される文化的所産の総称。
  1. 言葉づかいや行動様式など身体化されたもの
  2. 絵画や書物など物として客体化されたもの
  3. 学歴や資格として制度化されたもの

文化資本の3つの形態 †

  1. 身体化された文化資本。
    • たとえば場に応じた行動の仕方、ものの言い方、道具の用い方などの能力を身につけていることである。それには文化資本の蓄積者自らが時間をついやし、身にそなわったものとして獲得していくことが要件となる。
    • ここでいう文化は、芸術や文芸活動などいわゆるハイカルチーを含め、さらに日常的な立居振る舞い、行動様式などを包含する広い意味であることはもちろんである。
    • ハイカルチャーという表現が含意しているように、文化資本は、各社会において正統とみなされている文化に親しく近づくことができる能力、あるいは正統文化の規範にそったものであるほど、資本としての価値は高い。たとえば、正統言語を話せる人とそうでない人との差を考えてみればよい。
  2. 客体化された文化資本
    • 絵画、書物、映画、さまざまな道具など、文字どおり物として獲得され、蓄積されることが可能な資本である。その獲得のためには経済資本が必要であるが、しかしこれらの物が文化資本として十分に効果を発揮するには、それらを用いるための身体化された文化資本が、それらの物の所有者ないしはその代理人によって所有されている必要がある。
  3. 制度化された文化資本
    • 学歴などさまざまな資格という形式において現実化されているものである。
    • 資格という制度によって、承認ずみの正統な能力と、そうではない能力とのあいだに境界線が画定される。換言すれば、資格という文化資本を獲得することによって、その獲得者は正統文化への所属を公認されるわけである。
  • 文化資本の獲得・蓄積・継承は、独自の特徴とプロセスとをもつ。
  • その獲得には、自由に用いることのできる時間や金銭といった経済資本が必要だが、その余裕が大きい家庭の子供ほど、幼時から文化資本の蓄積は有利に展開される条件を有する。蓄積された文化資本の継承は、とりわけ第一の身体化された様態の場合に明白なことだが、経済資本のように統制されることは少ない。しかし文化資本が蓄積されていればいるほど、物質的・象徹的利益を多く手にする可能性が生じる。
  • たとえば「洗練された身のこなし」が与える社会的敬意(象徴的利益)だとか、社交辞令の適切な用法が話をまとめるといった事例を想起すればよい。学歴競争は、社会的・経済的利得を確実にしてくれる文化資本の獲得をめぐる争いである。
  • 直接に経済資本ではないが、常に経済的・社会的利得に換算可能なものとしてある文化資本は、文化的再生産と社会的再生産との関係を、社会が組織され統制されている仕組みと、文化において正統性が設定される仕組みとの関連において問うための概念である。

社会的不平等と文化資本 †

  • ブルデューは社会的不平等を経済的なそれからではなく,文化資本の配分の不平等から説明している。
  • 文化資本とは大学を含めた学校教育体系を通じ教育・形成された人々により獲得される理論的・技術的な知識のことである。この知識は中産階級の家庭の有する教養と近いものであることからこの階級の人々には有利であり,学校教育体系は普遍的な知識をあたえるという外観のもとで階級的な選別を行っている。
  • 文化資本は個人に身体化されたり,卒業資格として制度化された状態で存在する。いずれにせよ経済的資本は,現代の社会のさまざまな回路を通じて文化資本に変形していくし,また文化資本は社会的地位と経済的利益をもたらし,そのようにして社会構造の再生産は保障されるのである。
  • 文化を規範や教養の普遍的存在様式と考えるよりも,その普遍的外見ゆえに社会的不平等を再生産するものとみる研究者が増えている。





2008-06-06 (金) 16:16:22 (3358d)