保護主義

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保護貿易主義

保護主義 †

  • 輸入の制限や関税などによって自国の産業を保護しようとすること。また、その考えや立場。

【噴水台】開放の寓話 [#u794c40a]

 自由貿易と保護主義は、誰にとってプラスになり、また誰にとってマイナスになるのだろうか。大学入試の論述試験や経済学科の低学年の試験に出てきそうな問いだ。米経済学者ジェームス・イングラムは、これを次の寓話でもって、面白く解釈した。

 時は、米自動車業界に保護主義の世論が浮上していた時代。主人公は、農産物を注ぎ込めば自動車を吐き出す、驚天動地の機械を発明した企業だ。この会社は、海浜に工場を設け、生産に乗り出した。もちろん、工場の内部は極秘だった。

 そこの車は、他社のものより安価で質も良かった。消費者は熱狂し、同社のシェアはどんどん伸びていった。そこに納品する農民も張り切った。憂うつなのは、他の自動車メーカー達。新しい競争者のため、値下げとともに構造再編と新技術の開発に乗り出さなければならなかった。

 ところが、ある日、ある新聞記者が同社に不満を抱いている労働者から情報を得る。工場に潜入した記者は、生産ラインを取材し、会社の秘密を暴露する。

 工場の内部は、がらんと空いていて、海辺には大型の船着き場があった。一方では海外に持ち出す農産物を船籍みし、もう一方では外国から到着した船から車を降ろしていた。同社は、農産物で車を作っていたのではなく、農産物を輸出する代わり車を輸入し、売っていたのだ。世論のしっ責を受け、工場は閉鎖されるようになる。他のメーカーは、快さいを叫んだ。その後、再び自動車の価格は上がり、農民は販路を失った。

 この寓話は、保護主義の弊害を強調している。とりわけ、保護主義は、自国で最も効率的な工場を閉鎖してしまうのも同然だとの点を指摘している。その被害は、そっくりそのまま消費者に返されるとの事実も、欠かしていない。

 元々、これは、米自動車業界の保護主義指向を皮肉ったものである。だが、品目を変えて置き換えれば、韓国にも適用されるものではないだろうか。例えば、自動車を原料に安価で質の良いコメを作る工場の話ならばどうだろう。それをなくせば、韓国内で最も効率的な田んぼをすき返し、ダメにしてしまうことになる。

 政府は、コメの価格が下落しても、農事を続けられるように、コメの農家の所得を保障するとしている。開放の苦痛を減らしてくれる鎮痛剤であるわけだ。それなら、残されるものは何だろうか。寓話の中に出てくる「コメ工場」の閉鎖ではなく、骨身を削る構造再編であるはずだ。




 「高邁(こうまい)なる議員の方々。私たちは、とうてい相手にならない外部の強力な競争者のため、深刻な苦痛を味わっています。その競争者とは、すなわち『太陽』です。この不公平な状況を是正する法を、ひとつ作っていただきたくお願い申し上げます。国民が、昼にすべての窓を閉めてカーテンを張り、太陽光線を受けられなくする法案です。こうして自然光を遮断し、人工光の需要を創出すれば、フランスで数多くの産業が盛んとなるでしょう。ろうそく産業が発達し、この原料である油脂肪を提供する牛や羊を飼う酪農業も盛んとなります。国内産業保護のため、安価な外国産鉄鋼、穀物、織物などの輸入を防ぎながら、ただ同然の太陽光線を防がないのは非論理的なやり方です。議員の方々の合理的な選択をお願い申し上げます。ろうそくなど照明関連業者 一同」

1840年代、フランスの経済学者クロード・フレデリック・バスティアが、保護主義を批判するため、請願書形式で書いた文だ。

 1980年代に米国市場を席捲した日本企業の自動車が、米国議会の圧力に押され、米国輸出物量を減らした。 これにより、米国内の自動車供給が不足し、自動車の価格が上昇した。 米国自動車企業は、より高価に車が販売できるようになった。 その負担はそのまま米国消費者に跳ね返った。 ブルキンス研究所のロバート・クレンダル氏は「米国政府は、米国の消費者を大きな皿に盛り付け、自動車企業ビック3に捧げた」と皮肉った。(『愉快な経済学』、トッド・ブックホルツ著)。

 経済学の基本諸原則も、保護主義の前には無力である場合が多い。 特に保護主義が雇用という名分を持ち出すと、経済論理の立つ場がなくなってしまう。 最近、ホワイトハウス経済諮問会議のグレゴリー・マンキュー議長が、工場やコールセンターなどを海外に移す海外アウトソーシングが長期的に米国経済に有益だと語り、強い批判を買っている。 経済学者は、マンキュー氏が正しいことを言っていると擁護している。 だが海外アウトソーシングのせいで米国の雇用が減っているとし、政府事業を受注した企業の海外アウトソーシングを禁止する法案まで進めている米国国会議員は、マンキュー議長を猛烈に非難している。 米国で保護主義者の声が高まりはじめる姿は、尋常ではない。






2007-03-10 (土) 21:48:32 (4238d)