捕虜理論

「捕虜理論」についてのメモ。捕虜理論とは…
HOME > 捕虜理論

capture theory 虜の理論/虜理論/とりこの理論/とりこ理論/ミイラ取り説

捕虜理論 †

  • 連邦機関や議会の委員会などが、本来規制すべき利益団体を逆に擁護することになってしまうという説のこと。
  • 規制当局は、意図するしないに関わらず、あたかも「囚われ」の身になって、被規制産業の利益が最大になるように政策を形成・実施する。
  • こうした理論はシカゴ学派のスティグラー(G.J.Stigler)によって展開され、規制は公共の利益を最大化を図ることであるとする伝統的な理論(public interest theory)に対して疑問を投げかけた。
  • 「規制は業界によって買収され、主として当該産業の利益のために策定・運用される」(スティグラー『小さな政府の経済学』)




【噴水台】捕獲理論
 政府が、誤った政策や規制を行う理由は何か。行政学や政策学の主な研究対象のひとつだ。

 常識的な解答としては、やはり無能と腐敗を挙げることができよう。無能力によって誤った政策を立て、また腐敗によって意図的に正しくない決定を下す場合もある。

 しかし、これらが全部ではない。より本質的な誤謬を起こし得る理由が、もうひとつある。

 政府規制の効果に関する研究で、82年のノーベル経済学賞を受賞した米国のジョージ・スティグラー氏は、これを鋭くえぐり出した。71年に発表した『規制の経済理論』という論文で、彼は、ほとんど聞くことのない「捕獲理論」(Capture Theory)を提示した。

 この理論では、規制される対象が、自らの利益のため政府を利用しようとする点に注目する。特に市場原理が正しく作動しない場合や、高度な専門分野において、政府は、利益集団の主張や説得に振り回されやすいという。

 「捕獲」という語も、政府が特定集団に「捕われる」ことを示したものだ。

 これは、腐敗とはレベルが違う。利益集団はわいろではなく、専門性や情報によって政府を捕らえるためだ。

 また政府が能力のない後進国でない限り、一定の能力と知識を備えているという点で、無能とも距離がある。ただ、利益集団が公務員の頭上で動くことが問題だ。

 極端な場合、捕獲理論では、政府の政策や規制を、特定の集団利益を保護するためのものと見なすこともある。

 無論、政府を意図的に歪めて見過ぎではないか、と反駁することも可能だろう。だが、政府が利益集団に捕われてしまうと、善意で作られた政策も、結果的に公益を害する危険があるというのが、捕獲理論の警告だ。

 この理論は米国で、独占を助長する政府の規制政策を説明する際、よく用いられる。例えば、医療、交通といった競争より独占に傾きやすい分野が、捕獲理論の主な舞台だ。






2007-03-10 (土) 21:48:35 (4301d)