無政府主義

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anarchism

無政府主義 †

アナーキズム

無政府主義と訳されている。ギリシア語のanarkhia(指導者がないという意味)が語源である。したがってアナキズムとは一切の政治的権威から人間を解放して,完全な自由社会をつくろうとする思想ないし行動であるといえよう。束縛や制約のない自由な状態を憧れるのは人間に共通した性向であって,古代中国の老荘や古代ギリシアのソフィストの思想のなかにもこのような願望をみることができる。だが政治哲学ないし政治思想としてのアナキズムは,やはり近代の所産であるといわねばならない。これを最初に体系的に述べたのが,イギリスのW.ゴドウィンである。彼は1793年に『政治的正義』において,貧者に対する富の分配,政府の廃止,自治的共同社会の創設などを主張した。次いで1845年にドイツのM.シュティルナーは『唯一者とその所有』において国家,道徳,宗教など自我を抑圧する一切のものの廃止を主張した。だがアナキズムを真に有力な思想としたのは,フランスのP.プルードンである。彼は40年に『財産とは何か』において国家や私有財産制の廃止を要求した。しかも彼はこの変革が平和的に達成できると考えた。だがロシアのM.バクーニンはプルードンの影響を受けながら,それとは違って,アナキズムの理想を達成するためには暴動や破壊という暴力行使が必要であると主張した。その後もアナキズムは発展し,19世紀末にいたってロシアにP.クロポトキンが現れ,ナロードニキ的な発想に立ってアナキズムを主張した。19世紀末から20世紀の初めにかけて,世界各地のアナキストは理想の実現のために政府首脳の暗殺を実行しはじめた。アメリカのW.マッキンレー大統領やフランスのM.カルノー大統領はその犠牲者であった。同じ頃に,アナキズムは思想として発展し,フランスにおいてサンディカリズムとなり,長期にわたって労働組合を支配し続けた。日本においては,すでに江戸時代に安藤昌益は無政府的な思想をいだいていたといわれている。そして明治に入ると樽井藤吉が現れてアナキズムを主張したが,明治末期には幸徳秋水がアナルコ・サンディカリズムを唱道した。これは大きな影響力をもち,大杉栄,石川三四郎のような信奉者が現れた。もっとも大杉の場合は思想的にはクロポトキンに近かったといえる。しかし日本のアナキズムは,国家権力とマルクス主義陣営の双方から圧迫されて大きな勢力をもちえなかった。現在では全世界的にみて,既成左翼の思想や行動に失望したニュー=レフトの一部にアナキズム的な思想傾向が現れているといわれる。






2007-03-10 (土) 21:49:02 (4480d)