無知のヴェール

「無知のヴェール」についてのメモ。無知のヴェールとは…
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ロールズ / 正義論

無知のヴェール †

正義が、先験的に与えられたものではなく、社会の構成員が合意した原則によって決まる、と考えた。 そのとき、社会の構成員は「無知のヴェール(the weil of ignorance)」におおわれた状態で、正義の原則を選ばなければならない。

「無知のベール」とは、自身の位置や立場について全く知らずにいる状態を意味する。 一般的な状況はすべて知っているが、自身の出身・背景、家族関係、社会的な位置、財産の状態などについては知らない、という仮定である。 自身の利益に基づいて選ぶのを防ぐための装置だ。 それを通じて、社会全体の利益に向けた正義の原則を見いだせるようになる。

無知のベールを動員すれば、社会的な対立をさらに容易に解決できる道を見いだすことができる。 ストライキの例を見てみよう。 労働者と経営者は、それぞれ有利な状況を総動員し、最大限に、自分の利益を確保しようとするはずだ。 しかし、無知のベールに蔽われているならば、状況は変わる。 労働者と経営者いずれも、自身に戻ってくる損が最も少ない方を選ぶようになる。 自身の強みと相手側の弱みが分からないからだ。 無知のベールにおおわれれば、自身の位置が分からなくなるため、合理的な利己心によって、すべての人の被害を最少化する「正義の選択」をするようになる、というのがロールズ教授の教えだ。

ジョン・ロールズ『正議論』「原初状態」「無知のヴェール」 †

「この状況の本質的な特徴として数えられるのは、次のことである。誰も社会のうちで自分がどの位置にあるかを知らない。彼の階級も、彼の社会的身分も、また彼が、生来の資産と能力、知能、体力といったもの配剤にあずかる運を持ったかも知らない。さらに仮定するなら、彼は自分がいだいている善の概念がなんであるかを知らず、自分に固有な心理的傾向がなんであるかも知らない。正義の原理はこの無知のヴェールの陰で選択される。これが保証しているのは、諸原理の選択において、自然の運の結果や社会的環境の偶然の結果によって、誰も有利になったり不利になったりすることはない、ということである。すべての人が同じ状況のうちにあり、誰も自由の固有な状況に都合よく諸原理を立てることができないのだから、正義の諸原理は公正な合意と交渉の結果であるのだ。」






2007-03-10 (土) 21:49:04 (3557d)